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鹿島復権への相棒は最強の芝生。
構想6年、ターフプロジェクトって?
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2018/03/08 17:00
2017シーズンは最終節でJ1優勝を逃した鹿島。タイトル奪還へ、ピッチも最高の環境で待つ。
イレギュラーを防ぐために面を均一に。
芝を整える上で、鈴木が最も気にかけるのが面を均一にすることだという。
「アントラーズのサッカーでは、ボール回しがポイントになります。そうなると、選手としてはイレギュラーバウンドすることを一番嫌がる。トラップミスにもつながりますからね。チームが力を発揮するために芝をどうできるか。
そのためには、まず面が均一になることを心掛けます。さらに、より短い芝を準備することが必要です。今回の新品種採用によって、より短い芝の実現に近づきました。現在は15mm。スパイクのグリップやパススピードについて、選手たちの意見を参考にしながら、芝生の長さを調整していきたいと思っています」
'93年にJリーグが始まった当時は、ジーコのアドバイスのもとで35mmとした。
「当時の芝としては、他のスタジアムと比べて長かったんです。あまりに長く、相手選手がスパイクを履き替えているうちにゴールを決めたこともありました」
'02年ワールドカップでの統一規格により25mmとなり、現在は15mmで統一されている。
「いかに冬を越すか。これからが勝負」
今回の新しい芝は、ゴルフのグリーンで3.2mmまで短くすることが可能と実証されている。気温が高くなっていくこれからの季節は10mmにする計画もあるという。
芝が短くなればボールは走り、高い技術を持つ選手が揃うアントラーズにとっては、有利に働く。パスサッカーが生かされるのはもちろん、ショートカウンターにもより磨きがかかることだろう。
「いかに冬を越すか。これからが勝負ですよ。まだ芝を張っただけですからね」
冬芝から夏芝に変えた大きな決断の結果は、寒い時期をいかに乗り切るかが肝となる。暖かくなればなるほど、夏芝はより生育しやすくなる。それ以外の寒い時期に、いかにきれいな緑で、きれいな芝を維持できるか。芝をめぐるピッチ外での戦いは、まだ始まったばかりだ。