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鹿島復権への相棒は最強の芝生。
構想6年、ターフプロジェクトって?
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2018/03/08 17:00
2017シーズンは最終節でJ1優勝を逃した鹿島。タイトル奪還へ、ピッチも最高の環境で待つ。
スタジアムの収益性を高めるために。
通常、芝の全面張り替え作業は約3カ月かかるが、今回のプロジェクトによって夏場であれば7日ほどあれば張り替えが可能となった。Jリーグのスケジュールは大まかにいえば、ホームとアウェイを交互に戦う。
つまり、一度ホームで戦った後、次にホームで戦うのは2週間後となる。その14日の間に、クラブ自主事業イベントやコンサート、そしてホームタウンの小中学校の運動会などを実施しながらも、傷んだ芝を週末に張り替えることで、また万全の状態で試合を迎えることが可能となったのだ。
スタジアムが本来目指すところは、収益性を高め、行政コストを削減して、地域へ還元していくことにある。その中で、クラブとしては'06年に指定管理者となってから常に稼働率の向上を課題としてきた。
ただし、稼働率が上がれば、芝生の使用頻度が増すためクオリティが落ちてしまうことにもつながる。そのため、特に最も需要のある夏場には制限をかけなければならない現状があった。
年間100試合以上の開催を目指す。
その最たる要因の1つに、近年の気候変動による猛暑がある。この温暖化が進んだ環境は、日本の多くのスタジアムを悩ませてきた。また、スタジアムの形状により、芝の生育に不可欠な日照時間が不足したり、日なたと日陰で生育の偏りが生まれていた。
しかし、今回の「ターフプロジェクト」によって、芝生への考え方が大きく変わる可能性がある。“芝をいかに維持するか”ではなく、“傷んだ芝は、張り替えて新しいものを使う”というアプローチの転換だ。
傷んだ芝でも、夏場なら張り替えることで約1週間で再生が可能となった。日本の芝の7倍の成長をとげる新品種だからこそできる芸当である。
今後、鹿島アントラーズとしてはプロアマ年間100試合以上開催を目指していく。実際に'16年は106試合、'17年は95試合に使用されていたが、試合数を維持、または増やしつつも、音楽イベント、市民の運動会などで年間のスタジアム稼働率を上げることで、さらなるスタジアムの活用が可能となるのだ。