プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンC相手に連続完敗のアーセナル。
また解任の声、ベンゲル22年目の冬。
posted2018/03/04 07:00

グアルディオラ(右)の攻撃サッカーの前になすすべもなかったベンゲル監督。逆襲の機会は来るのか。
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山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
英国は異例の寒さの中で3月を迎えた。シベリアから下りてきた「東方からの猛獣(The beast from the east)」の大寒波に襲われ、3月1日は南東部に位置するロンドンも前々日からの雪景色。同日夜のアーセナル戦に臨むマンチェスター・シティが、エミレーツ・スタジアムから約5キロ離れたユーストン駅に到着した午後1時前でも、ロンドン市内の気温はマイナス2度だった。
ガス暖房が主流の国内では、ガス供給が需要に追いつかない可能性が報じられてもいた。
アーセナルはプレミアリーグのクラブだけあって、ピッチの凍結回避は万全だが、クラブ周辺の空気は外気にも引けを取らないほど冷え切っている。
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同じシティに敗れたリーグカップ決勝(0-3)を経て、東方経由でやってきたアーセン・ベンゲル監督に対する退任要求の波は激しさを増した。
「決勝で負けただけでこんな一大事とは」
「タイトルと同等」とベンゲルが言ってきたCL出場権獲得は、昨季すでに途絶えた。その頃からチームに不足しているものは多数ある。リーダーシップ、フィジカル、アウェイでのポイント、大一番での精神力、攻守のバランス、守備力、気骨、チーム内競争……メディアで指摘されてきた。
そしてリーグカップ決勝での敗戦を受けて、メディアに新たな指摘が増えた。
「アーセナル蘇生が可能な監督」である。
ベンゲルは現在、昨季終了後に結んだ2年契約の1年目である。過去21年間の功績に免じて「あと2年」の我慢を覚悟したはずのファンたちは、リーグカップ決勝終了の笛を待たずして、退任をソーシャルメディアなどで訴え始めた。
ただ当のベンゲルはリーグでのシティ戦を前にした会見で、こう実績を強調した。
「決勝で敗れただけで、ここまで一大事のように騒がれるとは。ファンが決勝進出とウェンブリーでの勝利を当たり前と思うようになっている証拠だ」