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酒井高徳は名門で不可欠の存在だ。
監督交代もキャプテン継続の理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2018/02/24 07:00
香川とも激しいマッチアップを繰り広げた酒井。コンスタントに出場機会を得ている。
監督交代してもキャプテンのまま。
酒井が当時の様子を振り返る。
「“誰がキャプテンなのか”という雰囲気が流れたのは不調の原因の1つだったと思う。それは自分がキャプテンかそうでないか、ではないです。ただチームの中ではっきりしないことがあると、誰に頼るのか、どうチームを組み立てたらいいのか、選手自身も分からなくなる。『俺は今、話したいことがある。本当は誰がキャプテンなの?』って」
1月22日にホラーバッハ新監督が就任した。
監督が交代するとスタメンとともに、キャプテンも代わることは多い。かつての酒井もそうだったように。
何より新監督は往々にして、前監督の色を排除しがちだ。
しかしホラーバッハ新監督は就任早々に、これからも酒井がキャプテンを務めることを明言し、その理由を明かした。
「酒井はみんなのお手本となる選手だからだ。彼は別に大人しいタイプではないよ。ただ、『(ピッチ上などで)もっと自分を出していかないといけないし、それはロッカールームの中でもだ』と彼には伝えた。彼は絶対的なお手本だよ。キャプテンと言うのはお手本となる存在でなければならないのだ」
「プロフェッショナルでいるためには」
選手たちにも、酒井を中心にまとまっていくようにホラーバッハは伝えている。そして、酒井本人へはこう語りかけた。
「お前は良い選手なんだから自信を持ってやれ! 日頃の振る舞いや練習に取り組む姿勢を評価しているし、それは以前から続けているものだと知っている。チームの中心になってくれると信じているぞ。一緒に頑張ろう!」
しかし、ホラーバッハ新監督が就任したことで、自らの立場が揺らぐのではないかという不安はなかったのか。酒井はこう振り返っている。
「全く気にならなかったと言ったらウソになりますけど、正直、自分の中であまり気にしてなかったというか……。どんな立場でも自分のやることを、やろうと思っていました。
むしろ、僕はいろんな先輩たちを見てきた。プロフェッショナルでいるためには、気を抜いたり、やる気がない態度を取らず、しっかりやることが大事だと感じてきました。モットーとしているのは、選手として一流であるべき、ということですかね」