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神戸・吉田監督が掲げた“バルサ化”。
主力が去ったチームの再建状況は?
posted2018/02/22 16:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
今シーズンのヴィッセル神戸のプランは壮大だ。
「バルセロナのようなサッカーを目指す」
楽天がバルセロナの胸スポンサーになり、それに合わせて神戸も“バルサスタイル”への転換を計ろうとしているのだ。
その舵取りを任されたのが、吉田孝行監督だ。
吉田が監督に就任したのは、昨年の8月だった。前任のネルシーニョ監督は、開幕4連勝を果たすなど好スタートを切ったがすぐに失速。8月に契約解除され、ヘッドコーチだった吉田が監督に昇格した。
新指揮官が着手したのは、守備の整備だった。
「全体的にバタバタして失点も増えていたんで、まずは組織的な守備から入ろうと。守備はある程度、意識づけをするだけで修正できるんで、そこからチームを立て直すようにしていきました」
9月には、その成果が出てリーグ戦は4試合で3勝1分。10月も1勝1敗1分で乗り切り、チームは息を吹き返した。しかし、ラストの3試合で3連敗。「上位も下位もなくなり、選手のモチベーションを上げられなかった」と、吉田は反省した。
センターラインが抜け、緊急で補強。
シーズンオフは、チームに激震が走った。
13勝5分16敗の9位という成績に終わり、吉田の去就も含めクラブがなかなか方向性を示せない中、多くの主力が去っていった。生え抜きで最終ラインの軸だった岩波拓也、ボランチのニウトンと高橋秀人、さらに大森晃太郎も1年で旅立った。
驚くことにセンターラインがゴソッと抜けたのだ。ボランチのユニットを始め、チームの背骨をどう再構成していくのか、それが2018年神戸の重要ポイントになった。吉田は現状についてこう語る。
「岩波が抜けたのは痛かった。でも、そこに那須(大亮)を獲得できたし、ボランチは三田(啓貴)、チョン・ウヨン、さらに前線ではウェリントンを獲れた。
三田はFC東京時代から見ていて、その時はアタッカーとかをやっていたんですけど、その後仙台に行ってからボランチになった。大丈夫かなって思って見ていたけど、すごく良くなった。攻撃的なボランチで動けるし、キックの精度も高い。三田が前めでウヨンが下がり気味でうまくバランスを取ってプレーしているので、ボランチは問題ない。トータルで戦力アップしているので彼らが抜けたことをネガティブにとらえていません」