卓球PRESSBACK NUMBER
水谷1強時代終焉と張本智和の異能。
変化に適応した者だけ生き残る卓球界。
text by
川嶋弘文(Rallys編集部)Hirofumi Kawashima
photograph byItaru Chiba
posted2018/01/24 17:00
まだまだ成長途上の14歳の張本。どう変化していくのか? 世界でもその戦い方が通用するのか……将来に大きな期待がかかる。
パワーと速いテンポを両立し、台の近くで両ハンド速攻!
この年から、正式にボールの材質がセルロイドからプラスチックに変更されたことで、ボールが飛びにくくなったことが、大きな変化の理由として挙げられている。これまでの、男子が得意としていたフォアからのパワフルな打球では失速し、拾われてしまうようになったのだ。
そこで一躍脚光を浴びたのが……パワーとテンポの速さを両立させた「台の近くに立ち、両ハンド(フォアとバックの両方)でスピードボールを打つ」というスタイル。それを最もよく体現できているのが男子は張本であり、女子は平野美宇と伊藤美誠ということなのである。
すでに昨年9月のアジアカップで優秀した中国の林高遠(リン・ガオユァン、世界ランク4位)を筆頭に、世界トップクラスの選手たちは、そのトレンドにシフトしつつある。一方、日本の男子選手の場合、台から下がってフォアでの勝負にこだわる選手がまだ多い。
いち早く新しい戦型を取り入れていた森薗。
そんな中、いち早く新しい戦型を取り入れた日本人の男子選手がいる。今大会混合ダブルスで優勝し、男子シングルスで自身初のベスト4に入った森薗政崇だ。
実は今回の全日本選手権の“もうひとつの目玉”が男女混合ダブルスだった。2020年の東京五輪から正式種目に採用されるとあって、エントリーする選手が一気に増えたのだ。
当初の予定では2017年の世界卓球選手権ドイツ大会で優勝を果たした吉村真晴・石川(佳純)ペアが優勝候補と目されていた。だが、今大会全試合で1ゲームも失うことなく全てストレート勝ちで優勝したのが森薗・伊藤(美誠)ペアだったのだ。