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F1の魅力は究極の駆けっこなのに。
PU新ルールに各方面から不評の声。
posted2018/01/14 07:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
2018年からF1にまた新しいレギュレーション(ルール)が適用される。
昨年は、パワーユニットを年間通して4基しか使用できなかった。それが、今年からはさらにパワーユニットの6つの構成部分のうち、エンジン(ICE)、MGU-H、ターボチャージャーは年間3基、MGU-K、エナジーストア、コントロールエレクトロニクスは2基に制限される。これを超えて使用すると、グリッド降格ペナルティが科せられる。
この適用に異を唱えたのがルノーとホンダだ。彼らは昨年も年間4基の制限を超えるパワーユニットを使用し、大量のグリッド降格ペナルティを受けてしまったからだ。
中でもマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンの2人が昨年受けたグリッド降格ペナルティは合計約400にも上る。
しかし、パワーユニットの信頼性で勝るメルセデスとフェラーリは「1年前から決定したこと」と意に介さなかった。一度決まったレギュレーションの変更には全チームの同意を得る必要がある。果たして、新レギュレーションは変更されることなく、今シーズンから適用されることになった。
PU年間使用代金は約30億円とFIAは財政を案じたが。
ここに現在のF1が抱えている問題が潜んでいるように思う。
パワーユニットの年間使用基数制限は、高騰する開発費を抑制するために導入された案だ。現在のパワーユニットの年間使用代金は約30億円。パワーユニットの基数に制限を設けなければ、開発費は高騰し、それはパワーユニットの代金に跳ね返ってくるだろう。
30億円以上ともなれば、小規模チームがパワーユニットを購入できなくなる。新しい年間使用基数制限は、小規模チームの財政を案じたFIAが講じた策だった。
だが、それはレースを運営する側の論理。見ている側の人々の思いとは乖離しているのではないか。