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F1界に奇跡を起こす1人の日本人。
新興チーム・ハース快進撃の理由。

posted2018/01/01 17:00

 
F1界に奇跡を起こす1人の日本人。新興チーム・ハース快進撃の理由。<Number Web> photograph by UNIPHOTO

2016年、ハースのシュタイナー代表(右)と小松エンジニア。小松はロータスチーム時代からグロージャンを育てたとも言われる。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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UNIPHOTO

 いま、F1というモータースポーツ最高峰の舞台で、奇跡が起きようとしている。新興チームの「ハース」の快進撃だ。

 ハースはすでに2016年も奇跡を起こしていた。開幕戦で6位に入賞。新規参入チームのデビュー戦でのポイント獲得は、'02年のトヨタ以来、14年ぶりの快挙だった。500人以上のスタッフがいたトヨタに対して、昨年のハースが100人にも満たない人員で戦い続けたことを考えれば、この6位入賞はまさに奇跡だった。

 さらにトヨタはその後は1回しか入賞できなかったのに対して、ハースは初入賞以降もポイントを重ね、終わってみれば合計5回ポイントを獲得。コンストラクターズ選手権で、ルノー、ザウバー、マノーを上回って8位という成績を残した。

 この活躍がビギナーズラックでなかったことは、2年目の2017年も再び8位を確保したことでもわかる。ポジションは昨年と同じだが、内容はまったく違う。1年目の'16年のポイントが、波乱が多かった前半に集中していたのに対して、'17年はシーズンを通してまんべんなくポイントを獲得。ドライバー2人合わせて13回も入賞した。

 あまりの快進撃に、いまではハースが入賞しても大きな話題にならなくなったが、'17年にハースがコンストラクターズ選手権で上回ったマクラーレンは800人以上、ザウバーですら320人のスタッフがいたことを考えれば、2年目になっても100人を少し上回った程度のスタッフで、老舗チームをしのぐ活躍を披露したことはやはり奇跡と言えるだろう。

小松礼雄がハースでした1つの提案。

 なぜハースは2年目に入っても快進撃を続けられたのか?

 そこには、1人の日本人エンジニアの存在が大きく関係していた。チーフレースエンジニアの小松礼雄だ。

 時間とスタッフの数が足りず、レースするだけで精一杯だった1年目。シーズン半ばに小松は、チームの首脳陣にある提案をした。

 それはスタッフの増員。ただし、それはサーキットで仕事をする現場スタッフではなく、ファクトリーで働くサポート部隊のことだった。じつは1年目のハースは「レースが始まると、ファクトリーにはほとんどスタッフが残っていない状態だった」(小松)のである。

【次ページ】 組織の巨大化が風通しを悪くするのはF1も同じ。

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小松礼雄

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