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RIZIN年末大会が見せた新しさ。
その背景にあった“つなぐ”物語。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2018/01/06 07:00

RIZIN年末大会が見せた新しさ。その背景にあった“つなぐ”物語。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

UFCでは7勝1敗という強さを誇っていた堀口。RIZINへ移籍し、圧巻のGP制覇を果たした。

「大晦日のさいたまで格闘技を続ける」という覚悟。

 石渡vs.大塚の1戦目が行なわれたのは、2014年のDEEP大晦日興行だった。

 会場も今回と同じさいたまスーパーアリーナ。

 いつものDEEPの規模を考えれば大博打だったが、代表の佐伯繁が開催を決断したのは「大晦日のさいたまで格闘技を続けるため」だった。PRIDEの後継イベントだったDREAMも開催されない当時の状況では、会場使用権が格闘技以外のジャンルに移ってしまう可能性があったのだ。アイドルかアーティストのライブが“恒例行事”になっていたかもしれない。

 佐伯はそれを防ぐため「来年になったらバラさん(榊原)が新しいことを始めるから」と、“つなぎ”のために博打に出たのだった。

 RIZINが始まったのは、DEEP大晦日の翌年、2015年だ。

RENAを下した浅倉は小さな大会から勝ち上がってきた。

 RENAを下した浅倉は、DEEP JEWELSでの出場者決定戦を経てRIZIN女子GP出場を果たした。DEEP JEWELSは女子専門のMMAイベントで、JEWELSの名称で開催されてきた大会を、DEEPの女子部門として継続させたものだ。

 メイン会場は新宿FACE。収容人数は500人ほどである。

 そういう大会から勝ち上がってきた選手が、大晦日の地上波生中継でチャンピオンベルトを巻いた。

 もし『VTJ』がなければ、RIZINでの堀口と石渡のドラマもなかった。

 石渡と大塚が闘ったDEEP大晦日がなければ、RIZINはファンにとって思い入れのあるさいたまではなく、別の会場で行なわれていただろう。

【次ページ】 佐藤ルミナ、藤井惠、川尻達也ら解説陣の意義。

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堀口恭司
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RENA
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