藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉が見た期待の海外組5人。
小林祐、森岡、南野、堂安、奥川。
posted2018/01/03 17:00
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph by
Toshiya Fujita
海外でプレーする若い日本人選手たちが新たな風を吹かしてくれる。
最終戦を待たずしてロシアW杯出場を決めた日本代表。難しい局面もあったが、結果的には順調に予選を突破した。対して韓国はアジア最終予選で苦しみ続け、なんとか2位を確保し出場を決めた。その両チームが対戦した東アジアE-1選手権。1-4の完敗を喫したショックは非常に大きかった。あくまで選手選考の場という位置づけ、ベストメンバーではない……などエクスキューズは様々あるが、大きな不安を抱えた。
そんな今だからこそ、かつての中田英寿や本田圭佑のような強烈な個性でチームを引っ張る選手がほしい。日本代表を支えてきた中心メンバーが、今なお活躍し続けていることもあり、長らく変わっていない現状を考えると、思いはさらに高まる。
私たちは彼らに続くような強いインパクトを放つ選手を待ち望んでいる。
毎年2、3人のプロ選手が海外挑戦をするようになって約20年。その歩みのなか、大きな可能性を感じさせてくれる選手たちのプレーに注目してみた。彼らにはこの先の日本サッカーを引っ張ってもらいたいと願っている。
ほぼフルタイム出場の小林祐希は堂々としている。
まず、昨シーズンよりヘーレンフェーンに加入した小林祐希。彼はオランダ移籍後、すぐにスタメンに定着し、その後は攻守のつなぎ役としてコンスタントな活躍をみせてクラブからの信頼を得ている。出場試合のほとんどがフルタイムということも高い評価の証だ。
オランダのクラブは基本的に4-3-3のシステムで戦うが、サイドアタッカーが左右に大きく開いてプレーを始めるなど、各ポジションで明確な役割を与えられることが特徴だ。そこで広いエリアを負担することになる中盤の3選手は、活動量はもちろん必須で、それ以上に攻守における戦術理解力を高く求められる。
言葉の問題からピッチ上でコミュニケーション不全が生じないよう、本来MFの選手が前線両サイドに配置されるケースもあり、実際に私も何度も見てきた。そんななかで小林は中盤の一角を担い、堂々とプレーしているのだ。攻撃面ではなんの問題もない。守備において、とくにマークの受け渡しに関する高度な理解が求められるポジションでプレーし続けていることが、評価の大きなポイントである。