Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保Jの重点項目はトライと吸収力。
東京五輪へ向けた初速は順風満帆。
posted2017/12/25 10:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Getty Images
記念撮影を終えるとすぐに首から下げていた銀メダルを外した森保一監督は、やや険しい表情でウズベキスタンの優勝セレモニーを見つめていた。
ところが、スタジアムの外に設けられたミックスゾーンで取材陣の前に立つと、意外にも、何度も笑顔を覗かせた。
「ポテンシャルを見せてくれたなと。いろんな要求への反応がすごく早い。いろんなことを吸収する能力を持っていると感じた」
タイのブリーラムで開催されたM-150カップ。準優勝に終わった今大会における収穫についてそう語った指揮官は、さらにこう続けた。
「成功したいという野心を持っていて、みんながギラギラしたところを見せてくれた」
初戦でU-23タイ代表に1-2で敗れたものの、U-23北朝鮮代表を4-0で下してグループステージを首位突破したU-20日本代表(東京五輪代表)は12月15日、U-22ウズベキスタン代表とファイナルを戦った。
敗れたPK戦の裏に、監督の笑顔の理由があった。
スターティングラインナップはGKオビ・パウエルオビンナ(流経大)、DF長沼洋一(山形)、庄司朋乃也(金沢)、立田悠吾(清水)、浦田樹(北九州)、MF神谷優太(湘南)、井上潮音(東京V)、平戸太貴(町田)、三笘薫(筑波大)、FW上田綺世(法政大)、旗手怜央(順天堂大)の11人。
指揮官が「2試合通して良かった選手と、疲労を考慮して起用した」というメンバーで臨んだ日本は、45分にカウンターから失点したが、1分後に神谷が直接FKを決める。75分にも左サイドを崩され勝ち越されるも、88分に途中出場の小松蓮(産能大)がCKに頭で合わせて再び同点。二度のビハインドを追いつく粘り強さを見せて、PK戦に持ち込んだ。
そのPK戦では神谷、小松、松本泰志(広島)と3人続けて成功したが、菅大輝(札幌)、上田が失敗。4人全員が決めたウズベキスタンにタイトルを譲ることになった。だが、このPK戦の舞台裏にも、森保監督が笑顔を見せた理由があった。