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大谷翔平にワクワクするアメリカ。
二刀流は既存の価値観への挑戦だ。
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ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/12/15 18:00
![大谷翔平にワクワクするアメリカ。二刀流は既存の価値観への挑戦だ。<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/700/img_2155ce1ddb4fe04534ee8b622b1b0ff9161804.jpg)
アメリカでも大谷翔平への注目度は極めて高い。メジャーの歴史でも類がない二刀流を日本人が実現したら、一体何が起こるのだろう。
見たいか見たくないかなら、見たいに決まっている。
それはそれとして、メジャーリーグは大谷の「投打二刀流」をとても待望している。
ニューヨーク・ポストの名物記者でMLBネットワークでも率直な意見を述べるジョエル・シャーマンは同ネットワークの番組で大谷について「(投打二刀流は)前例がないのだから難しいのは誰の目にも明らかだけど、そういう選手が出てくるのをファンやメディアは見てみたいと思う」と言った。
同番組に出演していた米スポーツ誌スポーツ・イラストレイテッドのステファニー・アプステインも同じ番組内でこう言っている。
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「(奇行で知られるドジャースの)プイーグを見ていて楽しいっていうのと同じで、人々は今までになかったものを見たいもの。成功するかどうかは分かりませんが、(投打二刀流を)やっている姿を見るのは楽しいはずです」
まったく、その通りだ。
二刀流を見たいか見たくないかと言われれば、見たいに決まっている。
ワールドシリーズのダッグアウト・リポーターとしても知られるケン・ローゼンタルは、こう言っている。
「なぜ“今”なのかという疑問について、彼(大谷)が考えていることは分かりませんが、ひとつ間違いないのは、彼にとっては“金”がモチベーションでないということ。投打二刀流と同じで、今までそういう前例はありません」
元々保守的な野球界は、新しい事に否定的だ。
「投手か打者に専念する」のではなく、「投打二刀流」。
「大型契約よりも、夢」。
保守的な考えの中では決して成立しないことが今、実現しようとしている。
野球界は元々、保守的な世界だ。時間短縮ルールやビデオ判定についてはいまだに否定的な意見があるし、今では球団フロントの必須アイテムであるセイバーメトリクス(野球の統計分析学)だって、ひと昔前は「メジャーリーグで野球をしたことのない数字マニアの遊び」みたいな見方をされていた。
「投打二刀流」についても「怪我のリスクはどうする?」、「日本よりも移動距離が長く、試合日程もキツイ中でどうやって両立する?」といった意見が出ている。それでもメジャーリーグは、「ショーヘイ・オオタニ」という異端を受け入れる準備を固めた。
こうなると話は速い。「エースで4番」という日本のイメージはアメリカにはないが、「時速100マイルを投げて20本以上ホームランを打つ」というだけで、それに近い期待感が膨らんでいる。