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松下浩二が進める卓球「Tリーグ」。
マーケット対象は“世界一”の中国。 

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鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byYuki Suenaga

posted2017/12/11 16:50

松下浩二が進める卓球「Tリーグ」。マーケット対象は“世界一”の中国。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

中国のトップ選手を獲得すれば大きな市場が視野に。

 例えば現在、男子シングルスの世界ランキング10位までに中国の選手は4人(11月24日現在)も名を連ねている。つまり中国のトップ選手を獲得すれば、卓球大国の需要が確実に見込めるというわけだ。

 では、どうやってトップ選手を獲得するのか。

「基本的に契約金が高ければ呼べるでしょう。中でも中国のトップ選手に来てほしいので、中国のリーグと開催期間が重ならないようにしました。両方のリーグに所属しても大丈夫です」

 初年度ということもあって、当面はリーグが交渉も行い、そこから各クラブの希望にあった選手を割り当てる方針だという。また、中国には「スーパーリーグ」というプロ卓球リーグがあり、当然、中国出身のトップ選手も参加している。そこで「Tリーグ」はこの「スーパーリーグ」と開催期間が重ならないよう10月から翌3月という日程にした。マーケットとしても、強化と普及のためにも最大のターゲットはやはり中国だからだ。

「中国の卓球の指導は勝つための技術しか教えないんです。日本は楽しむことから入って、自分にあったスタイルを選んでいきますが、中国は勝つためには卓球台から離れてはいけないと考えていて、例えば水谷(隼)のようなスタイルは教えられません。日本ではラリーを続ける中で駆け引きしますが、中国はあまりラリーをせず、すぐに決めにくる。日本と中国では初期設定から違うんです」

練習方法からしてまったく異なる日中の卓球。

 トップ選手になれば年間12億円を稼ぐ選手もいるという中国の卓球選手。幼少時からラケット1本で富と名声をつかもうとする環境は、日本にはないものだろう。

 その違いは子供が行う基礎練習の方法にも見られるという。

「例えば、2人でボールを打ち合う練習で、日本の選手はボールを見て打つのに対し、中国の選手は相手を見ながら打つ。そのため日本の選手の方がフォームは綺麗ですが、相手がどっちにどんな球を打ってくるのか、という予測は中国の選手の方がはるかに優れています」

【次ページ】 東京オリンピックの後を考えての「Tリーグ」。

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