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オルフェ産駒初のGIは阪神JFに!
ラッキーライラックが引き継いだ力。
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2017/12/11 11:30

オルフェーヴル産駒は勝ちあがり率では苦戦しているが、スケールを感じさせる馬は出ている。ラッキーライラックもその1頭だ。
騎手時代、GI6勝すべてが牝馬だった松永調教師。
管理する松永幹夫調教師にとっては、レッドディザイアで勝った2009年の秋華賞以来8年ぶり2度目のJRA平地GI制覇。騎手時代にJRA・GIを6勝したのだが、そのすべてが牝馬によるものだった。調教師になっても「牝馬のミキオ」として手腕を発揮しているわけだ。
その松永調教師が「距離が延びていい」とコメントしているだけに、同じコースの桜花賞だけではなく、オークスでも期待できる。
オルフェーヴルの産駒で勝ち上がっているのは、12月10日終了時で7頭。同じ新種牡馬でも、20頭以上が勝ち上がっているロードカナロアなどと比べるとけっして多くはない。しかし、7頭のうち2頭がラッキーライラックと、札幌2歳ステークスを勝ち、ここで1番人気に支持されたロックディスタウンなのだから、大物の出現率が高い。
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ロックディスタウンは、直線でいったんは突き抜けるかに見えたが、9着に沈んだ。休み明けで初の関西遠征だったためか、テンションが高く、序盤に掛かり気味になったのが痛かった。
2着リリーノーブルと、3着マウレアも、ここまで2戦2勝と無敗で来ていた。
ブエナビスタの娘ソシアルクラブは長い目で。
実績上位の馬が、ガチンコ勝負のGIでもそのまま上位に来たということは、それまでのレース結果が信頼に足るものであることを示している。重賞の上位入着馬や、安定した成績をおさめてきた馬が世代のトップ争いをつづけるわけだから、現在の勢力図に大きな変化はないまま、来春のクラシックを迎えることになるのではないか。
プレビューで本命にしたブエナビスタの娘ソシアルクラブは8着だった。マイナス12kgの馬体減は、ガレてしまったわけではなく、まだ体が出来上がっていない成長途上の不安定さが数字に出たように見受けられた。騎乗した福永祐一が「体が整ってくれば、もっとやれそう」と言ったのも、若さゆえの緩さを感じているからだろう。そうした状態で着順ほど大きくは負けなかったのだから、ポテンシャルは高い。長い目で見守りたい。
