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ブエナビスタの娘が阪神JFに登場。
祖母はエアグルーヴに勝ったあの馬!
posted2017/12/09 09:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
2歳女王を決める第69回阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日、阪神芝外回り1600m、2歳牝馬GI)の出走馬は18頭。そのなかに、12分の9の抽選を突破したソシアルクラブ(父キングカメハメハ、栗東・池添学厩舎)の名も見える。
母ブエナビスタは17分の6、叔母ジョワドヴィーヴルは15分の6の抽選をクリアして、このレースを制した。母系から高い競走能力と運の強さを受け継いだ良血娘は、祖母ビワハイジと母につづく、同一レース母仔3代制覇を狙う。
ビワハイジが2歳だった1995年、馬齢はまだ数え年で、このレースの名称は「阪神3歳牝馬ステークス」だった。
1番人気は、新馬、りんどう賞を連勝していた武豊のイブキパーシヴ。2番人気は母がケンタッキーダービー馬ウイニングカラーズというゴールデンカラーズ。3番人気はエアグルーヴで、このときはアイルランドのマイケル・キネーンが手綱をとった。
ビワハイジは4番人気。鞍上は角田晃一だった。新馬戦と札幌3歳ステークスを武豊の手綱で勝っていたので、この豪華メンバーのなかでも本命視されてよかったところだが、4カ月ぶりの休み明けで、武がイブキパーシヴを選んだことも、評価を下げる要因になっていた。
エアグルーヴに競り勝ったビワハイジの強さ。
考えてみれば、ここに記した上位人気馬4頭すべてが武のお手馬だった。武としては体が4つほしかっただろう。
ビワハイジが好スタートからハナに立った。エアグルーヴが外から2番手に上がり、イブキパーシヴは4番手の内につけた。
先頭から最後方まで7馬身ほどの団子になった。向正面に入ると馬群はやや長くなったが、ビワハイジが引っ張る隊列はほぼそのままだ。前半800m通過が49秒1というスローになった。
直線に向き、後続がビワハイジをとらえにかかる。しかし、その差はなかなか詰まらない。
ビワハイジは最後まで力強く伸び、2着のエアグルーヴに半馬身差をつけ、この年の旧3歳女王の座についた。
馬の強さもさることながら、後半の800mが、前半より3秒近くも速い46秒2という上がりの競馬に持ち込んだ角田の好騎乗も光った。