フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
オズモンド優勝と本田真凜のデビュー。
カナダ杯に見た、それぞれの収穫。
posted2017/10/31 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFP/AFLO
10月27日から、カナダのレジャイナで開催されたGPシリーズ第2戦スケートカナダ。女子は2016年世界ジュニアチャンピオン、本田真凜のシニアGPデビューが注目された。
本田真凜のSPは、マリーナ・ズエワ振付による『The Giving』である。出だしの3ルッツを勢いよく跳んだが、続けてつけた3トウループで転倒という、厳しいスタートになった。これまで大きな試合でミスの少なかった彼女にしては珍しいことで、最後に予定していた2アクセルも1回転半に。
演技後はいつもの笑顔が出ずに、放心したかのように無表情でキス&クライに座った。結果は52.60。SP10位という思いがけないシニアGPデビューになった。
フリーで一気に挽回し、観客に好印象を与えた本田。
翌日のフリーは12人中で1番目に滑走。デイビッド・ウィルソン振付のオペラ『トゥーランドット』から『誰も寝てはならぬ』。宇野昌磨と同じ曲だが、こちらは女性のヴォーカルを使ったヴァージョンである。
3ルッツから演技を開始し、3フリップ+3トウループ、2アクセル+3トウループ、3サルコウ+2トウループ+2ループなど、いくつかジャンプの回転不足をとられたものの、最後まで大きなミスなく滑り切った。
演技を終えると拍手と大歓声が湧き上がり、観客は総立ちとなった。
フリーは125.64で3位、総合178.24で5位まで追い上げ、表彰台は逃したものの、印象に残るシニアデビューとなった。
「SPで良くない演技をしてしまって、ずっとSPのことを考えていました。こちらに入ってからあまりジャンプの練習ができていなくて不安もあった。でも逃げて終わるだけでなく、今後につながる演技ができたんじゃないかと思います」と、ようやくほっとしたように笑顔を見せた。
もっとも濱田美栄コーチは、「トランジションやロッカー(ターンの種類)など、かなり抜けていた。シニアで戦うような練習がきちんとできていなかった」と厳しい評価。
「もっと上に行きたかったら、能力がない子ではないので、練習をきっちりしていかないと。アスリートとして粘着質なところが足りない」と今後の課題を口にした。