フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
カナダ杯で『君が代』流した宇野昌磨。
300点越え圧勝で五輪へ向け視界良好。
posted2017/10/30 18:20
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
10月27日からカナダのレジャイナでGPシリーズ第2戦スケートカナダが開催され、宇野昌磨が圧勝。会場に『君が代』が流れた。
新SPは、樋口美穂子コーチによる振付で、アントニオ・ヴィヴァルディの『四季』より『冬』。
会場に響く美しい音色は、カラヤン指揮するベルリンフィルハーモニックの録音である。冒頭の4フリップが完璧にきまり、スピードのあるフライングキャメルスピン、続いたステップシークエンスはダンスパフォーマンスを見ているような印象的な腕の動きで観客を引き込んだ。
後半のコンビネーションは4トウループの着氷に若干ためらいがあり、続いたトウループは2回転に。3アクセル、コンビネーションスピンで盛り上げて終わった。103.62というロンバルディア杯に近い高得点を出した。
「すごく良い調整ができ、6分間(ウォームアップ)から体が動きすぎてどうしよう、と。アドレナリンというものかもしれませんが、久しぶりに体が動きました」「今の実力の100%は出せたと思います」と明るい表情でコメントした。
堂々の総合300点越えで圧勝してみせた宇野。
フリーはオペラ『トゥーランドット』の『誰も寝てはならぬ』。言わずと知れた、荒川静香がトリノ五輪で滑ったフィギュアスケートの勝負曲である。宇野にとってはシニアデビューした2年前に使用した音楽で、新たなジャンプ構成で五輪シーズン用にアレンジしなおしたものだ。
出だしの4ループが、驚くほどきれいにきまった。本来は次に4サルコウが入るのだが、ここではサルコウ不調で3ループに。だが回りすぎて、着氷がちょっと乱れる。続いた3アクセルをきれいに降りて、リカバーした。
後半は4フリップでステップアウト、次の4トウループで手をつき、2度目の4トウループに2トウループをつけた。3アクセルからの3フリップのシークエンスジャンプもきれいに成功。ドラマチックに最後のポーズをとると、会場の観客たちがいっせいに立ち上がった。197.48、総合301.10でトップを保ち、優勝した。
「僕の中では割と満足。昨日のショートは体が動いたけれど、今日は半分くらいしか動かなかった。その状態の割にはやりたいことがちゃんとやれたので良かったです」
現在の大きな課題は、スタミナだと会見で語った。