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「デスパイネがいること」が真骨頂。
SB、チームとフロントで掴んだ1勝。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2017/10/29 12:00

「デスパイネがいること」が真骨頂。SB、チームとフロントで掴んだ1勝。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

先制タイムリーを含む3安打でDeNA投手陣を完全に凌駕したデスパイネ。指名打者の使える試合は今後も彼が焦点になりそうだ。

ソフトバンクの強さばかりが目立った第1戦。

「流れを向こうにやりたくなかったからね」

 デスパイネは言う。

「日本シリーズは普段の試合よりお客さんも盛り上がって雰囲気は最高だ。とにかく勝ちたい。それだけだよ」

 初戦先発を任せた千賀滉大投手が4安打1失点でDeNAを抑え込めば、助っ人が助っ人らしい活躍を見せての白星発進。ソフトバンクの強さばかりが目立った第1戦だったが、この強さは監督、選手だけによって生み出されたものではなかった。

 リーグ優勝を決めた直後に地元の西日本スポーツが掲載した、後藤芳光球団社長兼オーナー代行のインタビューは、フロントとチームが一体となった勝つことへの強い意識を感じさせるものだった。

後藤社長「あれは、やはり僕らのミス」

 最大11.5ゲーム差から日本ハムに逆転優勝を許した昨シーズン。この大逆転を許した理由として工藤監督と選手たちの間の不協和音など様々な指摘があった。

 しかし後藤社長はインタビューで、李大浩の抜けた後の大砲補強を怠ったフロントの失敗だと語っている。

「あれは、やはり僕らのミス。ウチには長距離を打てる選手が何人もいる。李大浩が抜けた後、彼らがきっと活躍してくれて、十分、穴は埋めて余りあるだろうと考えていた。ここが若干、冷静さを欠いていたところ。優勝した直後で、自分たちの選手のいいところばかりを見ているのだ。フロントとしては甘すぎた。結果としてあの年(2016年)はホームランが非常に少なかった(前年のチーム本塁打141本から'16年は114本と27本減少している=筆者注)」(西日本スポーツ)

 そこで昨オフは「ピンポイント」で大砲の補強を決め、白羽の矢を立てたのがデスパイネだった。そうしてそのデスパイネがシーズン35本塁打を放ち、この日本シリーズ初戦でも2本の貴重なタイムリー安打でチームに勝利を呼び込んだのである。

【次ページ】 周囲に揶揄されても、必要な選手は取る。

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