プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ラミレス采配に見る短期決戦の核心。
日本シリーズ、ホークスの隙は……。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/10/27 08:00
広島相手の4連勝で大きなインパクトを残したラミレス采配。日本シリーズでもその采配は的中するか。
短期決戦こそ、指揮官の決断が勝敗に直結する。
例えばCSではファーストステージ初戦、ファイナルステージ第3戦の先発を任せたのは、井納翔一投手だった。
「こういう舞台でやってくれると期待した」
こう送り出した右腕は今季のレギュラーシーズンでは6勝10敗と大きく負け越している。ただ、昨年のCSではファーストステージの巨人戦で7回を2失点、ファイナルステージの広島戦でも同じく7回を投げて3安打無失点の好投を見せている。その潜在能力の高さと実績、そしてコンディションの良さを買って思い切って抜擢しているのだ。
同じように第5戦では、先発の石田健大投手の状態が悪いと見ると我慢せずに2回から継投にスイッチ。そこで投入したのが今季16試合の登板で防御率6.53という三嶋一輝投手だった。しかし結果的にはこの三嶋が2回を1安打無失点に抑えると、さらに第2戦で勝ち投手となった濱口遥大投手をこれまたプロ初の中継ぎで起用した。
「私は決断しただけで、やってくれたのは選手たちだ」
日本シリーズ進出を決めたマツダスタジアムのお立ち台。ラミレス監督はこともなげにこう語った。
逆にいえば短期決戦こそ、その指揮官の決断が勝負の行方を大きく左右する。選手の能力は勝負の行方を決める大きな力ではある。ただ、選手の力だけでは勝てないのも、短期決戦の怖さなのである。
力対力の勝負になればソフトバンクだが。
さて、日本シリーズだ。
セ・リーグ3位から下剋上での日本一を狙うDeNAを待ち受けるのは、工藤公康監督率いるパ・リーグの覇者・ソフトバンクとなる。
投打を含めたチーム力と選手層の厚さは、広島をも凌ぐものがあるのは誰もが認めるところだ。その絶対王者に若いDeNAというチームが挑戦するというのが、今年の頂上決戦の構図である。力対力の勝負になれば、ソフトバンクに一日の長があるのは、誰もが認めるところなのだろう。
ただ、もし、工藤監督がシーズン中と同じスタンスで勝負に向き合うとすれば、そこにDeNAがつけ込むスキが生まれるのかもしれない。
そこで1、2戦が勝負だと思う。