プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ラミレス采配に見る短期決戦の核心。
日本シリーズ、ホークスの隙は……。
posted2017/10/27 08:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
短期決戦には短期決戦の戦い方もある。
そのことを改めて痛感させられたのが、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)、ファイナルステージでのDeNA、アレックス・ラミレス監督の采配だった。
レギュラーシーズンを圧倒的な強さで勝ち抜いた広島相手に、最後の最後まで巨人とデッドヒートを演じてCS出場権を獲得したDeNAの戦いだった。ファーストステージでは雨中の激闘を制して阪神を破っての勝ち上がりだ。投手のローテーションや選手の疲労度、そもそものチーム力を考えれば、広島が圧倒的な優位に立っていることは誰もが認めるところである。
ところが結果はDeNAの圧勝だった。
先発しか経験のない今永をリリーフ登板の英断。
勝負を分けたのはアドバンテージを入れて2勝2敗となった後に、雨で2日間の空白ができた直後、23日の第4戦だったろう。
この試合でラミレス監督は入団以来先発経験しかない左腕・今永昇太投手をリリーフで使う決断をしている。
試合は先発のJ・ウィーランド投手が初回に3失点したが、投球内容を判断し続投させると、2回以降は赤ヘル打線をぴしゃりと押さえ込み、その間に筒香嘉智外野手の本塁打で反撃の狼煙を上げた打線が、5回に4長短打を集中して一挙に逆転。そして6回にウィーランドがピンチを招くと、砂田毅樹、三上朋也、E・エスコバー3投手の小刻み継投で広島の反撃をかわした。
「当初は6回までウィーランドでいって7回から今永につなぐプランだった」
指揮官は振り返ったが、6回の満塁のピンチでは空振りの取れる三上を、と状況に応じて臨機応変に投手を使いこなした。そして試合の流れをせき止めるために、7回からは満を持して今永を投入したのだ。