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また監督交代、レスターよ気づけ!
岡崎慎司こそ“2.5トップ”の最適任。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2017/10/21 09:00
バーディー、マフレズという“特化型”が生きるのは、岡崎というハードワーカーがいてこそ。レスターは戦術的な重要度に気づけるか。
守備は2トップ、攻撃は3トップになれる柔軟性。
よく“直す必要がない物には手を加えない方が良い”と言われるが、レスターの場合は変えようにも変えられないとも言える。それはつまり、最大の得点源であるバーディーを生かせなければ苦戦を強いられるということ。
その意味でも、監督交代を機に立て直しを図る上で岡崎の存在が鍵を握る。システムは今季と同じ4-4-2でも、一昨季の好調時と昨季後半戦のレスターは、ボールを奪って一気に攻め上がる際には3トップに近い状態になっていた。センターフォワードのバーディーに、アウトサイドから自由に動くマフレズと、後方から駆け上がる岡崎が加勢した。
特に岡崎は、再び攻守が入れ替われば前線から敵に詰め寄り、必要とあれば追いすがる。相手のDFやボランチにとって厄介な存在になることによって、バーディーが裏を狙うためのスペースや一瞬の隙を作り出していた。
なかなか中盤からボールが出てこなければ、自ら下がってボールをもらいに行き、バーディーへのスルーパスを狙ったり、素早くアウトサイドに預けて走ったりと、ボールと味方を前に動かす工夫をしていた。いずれも、イヘアナチョやスリマニには意識が乏しい動きだ。
リバプール撃破のカップ戦に見えた岡崎の価値。
岡崎の重要性は、リバプールを下した9月のリーグカップ3回戦でも証明されていたはずだった。後半途中出場で先制ゴールも決めた活躍は、メディアでも「エネルギーを注入した」と評価された。そのインパクトは、攻守に激しく動き回ること以上に、周囲が力を発揮しやすい環境を作り出すことによる部分が大きい。
岡崎は先発してもフルタイムで使われるケースは少ないが、当人は「60分間、70分間の中で全てを出し切る」意欲を繰り返し口にしている。開幕からリーグ戦6試合出場で3得点と、個人的には好調と呼べるコンディションを維持している。
スリマニ、イヘアナチョとポジションを争う厳しさを自ら認めてはいるものの、レスターの現戦力を客観的に眺める限り、バーディーの相棒に最適なFWは岡崎だろう。