藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
サポーターの喜ぶプレーは国で違う。
藤田俊哉がリーズで感じた“英国流”。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/09/27 11:00
かつてCLでベスト4に入ったこともあるリーズ。イングランドへと移ってオランダとはまた別のフットボール文化を体感している。
PSG戦でメスの川島は奮闘していたけど……。
今欧州でもっとも注目を集めているのは、間違いなくパリ・サンジェルマンだろう。彼らの戦いの舞台フランスリーグは、これまで一度もスタジアム観戦したことがない。そこで今シーズンはリーグ全体を見ていきたいと思っている。
先週行われたリーグ1の第5節メス対PSGでは、ネイマールとムバッペが加わり攻撃力がスケールアップしたPSGに対して、メスの川島永嗣が何度も決定機を防ぐ活躍を見せた。退場者を出したメスは1-5で敗れたが、あれだけの個人の突破力で得点チャンスを増したPSGの活躍、特にCLでの躍進は誰もが楽しみなものだろう。今後の試合も注目していきたい。
リーズのトレーニング施設は関係者以外が入れない。
ざっと触れただけでも、これだけの違いがある各国のフットボール。ナショナルチームにもクラブチームにも魅力的なスタイルが確立されている。もちろんそれは長い時間をかけて作られてきたもの。それらの歴史的背景があるからサポーターは熱くなる。そして当たり前のように、自分の出身地クラブを生涯サポートする。
そんなサポーターとお気に入りクラブの関係性にも違いはある。例えばトレーニング見学もそのひとつだ。オランダ、ドイツ、ベルギーでは基本的に可能だが、一部のビッグクラブは試合のスケジュール次第での公開となる。
一方イングランドは基本的に全てが非公開だ。リーズ・ユナイテッドのトレーニング施設に入るためには、警備員に専用のゲートを開けてもらい中に入らなければならない。クラブ関係者以外の者が施設内に入ることはできない作りになっているのだ。そうして中に入ると、ピッチの数や室内練習場、ジムやプールなどの施設面で、どのクラブもスケールが大きいのがイングランドの特徴といえる。
ヨーロッパに来て4年。フットボールが市民の生活サイクルの中心になっていることを体感し、その情熱がどれだけ多くの人の暮らしに楽しみを与え、元気を届ける存在になっているのかを知った。学校やクラブチームの活動、バカンスなどの年間スケジュールのなかには当然フットボールのカレンダーが組み込まれる。それも文化なのだろう。