藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
サポーターの喜ぶプレーは国で違う。
藤田俊哉がリーズで感じた“英国流”。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/09/27 11:00
かつてCLでベスト4に入ったこともあるリーズ。イングランドへと移ってオランダとはまた別のフットボール文化を体感している。
支配するオランダ、実直なドイツ、想像力のスペイン。
それをシンプルに表すと、以下の通りだ。
「圧倒的にボールを保持し続け、美しく攻める」=相手を支配するスタイルを好むオランダ。「規律正しくアグレッシブに戦い、試合終了まで決して諦めず勝敗に強いこだわりを持つ」=勝負に実直とも言えるドイツ。その戦いぶりは、前線から最終ラインまでの距離を(守備では特に)最後までコンパクト(30~35m)に保っていることも特徴的だ。
スペインは「オランダよりもさらにテクニカルな攻撃サッカー。ヨーロッパのなかでもっとも想像力の豊かなプレーが見られるリーグ」だと私は考える。バルセロナとレアル・マドリーの2強があまりにも飛び抜けているために、それがそのままリーグのイメージにつながっているとも言えるが。
カテナチオに攻撃性を加えたユーベの進化。
イタリアのスタイルは「カテナチオと呼ばれる伝統的な守備力」にあるだろう。2016-17シーズンのユベントスは、強固な守備力をベースにスケールアップを図り、スペインやオランダのように相手を支配する展開を目指してチャンピオンズリーグ決勝に挑んだ。結果は残念ながらレアル・マドリーとのチーム力(選手層)の差がはっきりと出てしまう展開となり準優勝に終わった。
しかしアッレグリ監督は、圧倒的な守備力を誇るユベントスに攻撃面でもさらなる柔軟性を加えることで、レアルやバルセロナのようなスペインのメガクラブに引けを取らないモダンなフットボールで立ち向かった。2014-15シーズンのCL決勝同様に、今回の決勝戦もスペイン勢に敗れたが、伝統を大切にしながらも改革を進める姿はとても美しく見えた。
現地で試合観戦した直後、私は「伝統的なカテナチオスタイルでレアルに立ち向かっていたら……」という考えがよぎったが、すぐにそれは全くつまらないものだったと思えるほど、カーディフでの決戦は見応えあるものだった。