月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
吉田麻也の機転と甲子園タオル回し。
プチ鹿島8月のスポーツ新聞時評。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byAsami Enomoto
posted2017/09/01 17:00
オーストラリアのメディアに対して、見事な対応を見せた吉田麻也とW杯出場決定を喜ぶ仲間たち。吉田のメディア対応も、プレミア仕込みのノウハウ!?
自粛要請とはお堅い対応だなぁと最初は思ったが……。
この自粛要請、お堅い対応だなぁと最初思ったのだが、1年前の当該試合の記事を調べてみると確かに「異様な空気だった」と指摘する記事が多いことに気づいた。
「甲子園ファンの声援に潜む『残酷さ』。八戸学院光星は、何と戦ったのか。」(2016/08/23)
なかでもNumberWebに掲載された中村計氏のコラムがわかりやすかった。抜粋してみる。
・甲子園に住むと言われる「魔物」の正体を見た気がした。それは、移り気なファンである。
・ファンはいったいどこまでこのカードに注視し、どれほどまで本気で東邦の勝利を願っていたのだろう。
・次の試合を目当てに訪れていたファンが、単に逆転劇が見たいという軽い気持ちで便乗しただけではなかったか。
・ある関係者は「悪ノリ」だと批判した。よく「甲子園のファンは暖かい」と言われる。しかし、それが群集心理となって暴走し始めると、一種の狂気になりうる。この日ほど、ファンの声援が残酷に思えたことはなかった。
「ここ2年くらいで明らかに客質が変わった」
このコラムを読んだ後、甲子園を取材している別のライターの方に話を聞いてみた。するとやはり「異様だった」という。そして「ここ2年くらいで明らかに客質が変わった」とも。
その理由としては「高校野球の名勝負や感動シーンなどを特集した番組が最近人気。高校野球に貢献していることは確かだが、一方でせっかく甲子園に来たなら自分も劇的なシーンを見たい、感動を味わいたいという客席の変化を感じる」と言うのだ。
つまりタオル回し応援は判官びいきですらない、と。
観客の気分や欲望がメインになっていると。