野球善哉BACK NUMBER
神戸国際大付は負け姿まで個性的。
甲子園でも際立つ選手の“雄弁さ”。
posted2017/08/18 15:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
両者が一歩も引かず粘りあう展開に、かつての神戸国際大付の面影はなかった。
延長11回までもつれた神戸国際大付vs.天理の“近畿対決”は、山口乃義によるテキサスヒットが決勝タイムリーとなり、2-1で天理に軍配が上がった。
延長戦で先攻チームに1点が入ってガタガタと崩れることはよくあるが、春・夏連続出場を果たした神戸国際大付は、その後続いたピンチに音を上げることはなかった。
「いくらヒットを打たれても、どんだけ粘るかや、って言ってきましたからね」
指揮官・青木尚龍の言葉を聞いていると、神戸国際大付のこの20余年の歩みを思い出す。
態度が悪いと見られた“神戸のやんちゃくれ”。
神戸国際大付は個性派が集まっていることから“神戸のやんちゃくれ”と散々呼ばれてきた。その能力が高い選手が結果を恐れず思い切りプレーすることで、9回裏2死から5点差をひっくり返したこともあったし、大記録を達成したこともある。そうした派手な戦いぶりの一方で、しばしば彼らの立ち振る舞いを言及されることがあった。
青木は、かつて苦笑してこう話していた。
「“個性”というのをええように思ってくれたらいいけど、違う形でとらえられたら『やんちゃ』とか『ゴンタ』と言われてしまう。坂口智隆(現ヤクルト)は目立ちたがり屋の性格で、グラウンドで目立つプレーをしたんですよね。それを個性というのか、悔しがってバットを叩いたから態度が悪いとなるのか。どう見るかの違い」
投手だった坂口は高校時代にノーヒットノーランを達成しているが、派手なプレーと時に生意気そうに見えるプレースタイルから、世間は「やんちゃくれ」の印象を持たれがちだった。