野球善哉BACK NUMBER
神戸国際大付は負け姿まで個性的。
甲子園でも際立つ選手の“雄弁さ”。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/08/18 15:00
ダイビングキャッチを試みるなど、負けても神戸国際大付の選手は甲子園でそれぞれの個性を出しきった。
「なぜ俺らばっかり言われなアカンのか?」
彼らが批判されがちなのは、甲子園のおひざ元で激戦区の兵庫県ゆえだろう。熱烈なファンからのやっかみがあったし、新興勢力の登場をうとましく思ったライバル校の指揮官からも、悪評を流されたこともあったようだ。指揮官やチームがどれほど傷付けられてきたかは計り知れない。
「なんで俺らばっかり言われなアカンのかと思った時期もありました。ウチで野球をやりたい言うて、入ってきている子たちにそんなん大人が言うたら失礼ですよ。学校が昔どうだったとか、この子らには関係のないことです。僕はいつも選手を信頼していますから」
チームが変わり始めたのは、エースで4番・キャプテンを務めた岡本健(現ソフトバンク)がいた2000年頃だ。品行方正な岡本がチームの中心となって、秋の近畿大会で優勝。センバツ出場を果たすと、一気に評判が変わり始めた。
今も昔も、選手の性質は変わってないんですよ。
もっとも青木からすれば、実際の選手たちの性質が変わったという印象は持っていないという。以前は勝負弱かったチームを粘り強くたたき上げてきたことで、世間からの見る目が変わってきたのだと、こう話している。
「正直に言いますけどホンマ、今も昔も選手は変わってないんですよ。岡本は確かに人間的にできたやつでしたけどね、今がよくて、昔はそうじゃなかったなんてことはないんですよ。周りがそういう目を向けてきただけなんです」
そうした紆余曲折を乗り越えて、今のチームがある。2回戦では昨夏準優勝の北海との力勝負で、7回に谷口の3点本塁打で逆転勝利。初めての夏1勝を挙げた。
「(今日の勝ちが)国際らしいと言われるのは嬉しいですね」と試合後に漏らした青木の表情は、長く“個性派集団”と言われ続けたチームが本当の意味での評価を得た嬉しさに満ちていた。