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メンタルの強さを計る尺度を開発。
伊藤華英が大学で研究したこと。 

text by

伊藤華英

伊藤華英Hanae Ito

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photograph byAFLO

posted2017/08/03 08:00

メンタルの強さを計る尺度を開発。伊藤華英が大学で研究したこと。<Number Web> photograph by AFLO

世界水泳で、日本選手団は金メダルを1つも獲得できなかった。メンタル面でのサポートにできることは何かないだろうか。

メンタルタフネスを計る尺度を作りたい。

 私自身も、最高の考え方に出会ったと確信した。

 世界選手権やオリンピックでメダルを獲る選手にある「メンタルタフネス」をなんとか数字で計る方法はないものか。そんな疑問から、研究テーマは「エリートスイマーのメンタルタフネス尺度開発」というものになった。

 日本人スイマーを対象として、メンタルタフネスとはどんな項目で構成されているのか、というのが主な内容だ。

 私が作った項目をまとめると、(1)強靭な精神(2)競技コミットメント(3)心理的コンディショニング(4)セルフコントロール(5)レジリエンス(精神的回復力)という5つがメンタルタフネスの重要な要素になる。

 特に注目すべきは、心理的コンディショニングだ。その中でも「試合に向けて、調子を上げることができる」という項目が競技結果に大きく影響することがわかった。

メンタルタフネスは後天的にも作れる。

「自分ならばできる」と思える気持ちを表す、セルフエフィカシー(自己効力感)とも関連する項目だ。

 要するに、「レースでこういう泳ぎをして、このように目標を達成できる」という心理状態に自分を置けるかどうかが、結果に大きく影響しているのだ。

 いかに自分を信じられるか、というところに最後は行き着くのかもしれないが、1つの概念を紐解いていくだけで、数々のことが明らかになる。

 フィジカルと同様、メンタルもトレーニングすれば強くなるのだ。今後、トレーニング方法がさらに構築されていくことを心から願う。

 最後に、メンタルタフネスの定義では先天的にも後天的にも構築できる心理的スキルだと言われている。自分は弱いと感じている選手も強い選手になれるのだ。

 少しでも現役でこれから頑張る選手の助けになればと思う。

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