eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
プロゲーマーが日の丸を背負う時代。
LoLトップ選手と“ゲームの代表戦”。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph byYuki Suenaga
posted2017/07/02 08:00
日本代表として戦うことになる(左から)YutoriMoyasi、Enty、Paz。日本人が国際舞台を経験することは、eスポーツ界にとっても価値あるものとなる。
日本はまだ、世界一を決める大会に出ていない。
彼らがプレーするLoLは、1チーム5人同士で戦うオンラインゲーム。オンラインなのでどこかに移動することなく、世界中の強豪チームとの練習試合も日常的に行われている。それと同時に、LoLをはじめとしたeスポーツの最先進国である韓国と近いことは、選手の交流や練習試合の時差などの面で大きなアドバンテージになる。他競技にたとえればメッシやイチローと日常的に練習ができるようなもので、日本の急成長が期待されている理由の1つでもある。
現日本王者「Rampage」のYutoriMoyasi(野口悠太)選手は、世界との距離感を率直に表現してくれた。
「普段の練習試合でも韓国のトップクラス、つまり世界トップの選手たちと対戦することはよくあります。練習では勝ったりすることもあるんですけど、本番では彼らの本気度も全然違って、世界の頂点との本当の距離はまだつかめていないのが正直なところです。実は、日本チームはどこもまだ、世界一を決めるW杯のような大会には出られていないんですよ。今僕たちRampageは日本王者なので、今年まずは世界大会に出るということが目標です。せっかく海外のチームと戦えるのに、ひよって負けたら『ひよった』っていうだけになっちゃうんで、アグレッシブにやりたいですね」
ゲーマーって対戦以外では仲がいいし、応援する。
サッカーのACLなどの国際大会では、ファンの心を惑わせる「ライバルチームを応援するか問題」というものが存在する。例えば浦和レッズや川崎フロンターレが勝ち上がると、他クラブのサポーターとしては複雑な感情が芽生える、といったものだ。
しかしゲーマー同士ではその問題はあまりないようだ。3人の中で唯一の国際大会初出場となる「Unsold Stuff Gaming」のEnty(谷岡亮征)選手は、海外で戦うライバルたちを日本から見守った経験もあるため、このように教えてくれた。
「対戦してる時はもちろん敵だけど、チームが違っても選手同士の仲はいいので、代表に決まったら普通に応援しますね。試合の前日でもSNSでメッセージを送ったりするし。あと現実的なことを言うと、勝ってくれれば日本国内でのeスポーツの地位も上がるし、世界的にも『日本なかなかやるな』ってなれば環境もよくなると思うから、これまでは勝ってほしいなと思いながら見ていました。今回は自分が出られるんで、勝ちにいきますよ」