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キタサンを見ていたサトノクラウン。
宝塚の運命を変えたデムーロの腕力。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2017/06/26 11:25

キタサンを見ていたサトノクラウン。宝塚の運命を変えたデムーロの腕力。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

サトノクラウンのGIでの着順は、6、3、17、12、6、14、1、6、1。波はあるが、ハマればとことん強い。

ダービーで14着に大敗した時との共通点は?

 清水調教師がレース直後の様子を見たところ、故障などではなかったという。武と同じように、首をかしげながらこう話した。

「スタートしてからの行きっぷりも、本来ならビューンと行くのに、そうではなかった。3コーナー手前で外から他馬に来られましたが、それぐらいであれだけ負ける馬ではない。直線で、なんで来ないのかな、と思いました。ガツンと来る感じではなかった。いい状態でここを迎えられたと思います。難しいですね。馬場が原因かもしれません。最後は完全に止まっていますものね。ゆっくり様子を見て、仕切り直します」

 どの騎手も「タフで力がいる」と言っていた馬場状態が合わなかったのかもしれないが、確たる敗因は特定できていない。

 17戦10勝2着2回3着3回と抜群の安定感を見せてはいるが、かつて、ダービーで14着に大敗したことがある。このときも敗因ははっきりしておらず、その翌年には同じコースのジャパンカップを圧勝している。

 今回と似たところがあるとしたら、3歳の1月31日にデビューし、そこからほぼひと月おきにレースをし、5戦目がダービーとスケジュールがきつかったことか。ひょっとしたらそのときも、春GI3戦目となった今回も、目に見えない疲れがあったのかもしれない。

 レース後、北島三郎オーナーは「外国は、ちょっと考えさせてもらいました。いい状態なら秋の天皇賞、有馬記念には頑張って出したいなと思います」と、凱旋門賞参戦を断念する意向を明らかにした。

サトノクラウンは、テンションが高いほうが強い?

 勝ったサトノクラウンは、昨年香港ヴァーズを制しているが、国内のGIはこれが初勝利であった。

 パドックでは発汗し、入れ込んでいるように見えた。それについて、デムーロは、「大阪杯(6着)はすごくおとなしかった。大人になったのかなと思ったけど、今考えると、テンションの高いときのほうがいいのかもしれない。でも、返し馬に行ったら落ちつきました」と笑顔で語った。

 昨年の宝塚記念は、凱旋門賞参戦プランのあったドゥラメンテで2着に敗れ、ゴール後故障したため、引退することになった。それだけにデムーロの喜びもひとしおだった。

「去年のリベンジができました。香港でサトノクラウンの2着だったハイランドリールが先週アスコットのGI(プリンスオブウェールズステークス)を勝っており、そうした力の比較からも今回は自信を持っていた。スタミナが素晴らしいし、こういう馬場も得意。キタサンを見ながらレースをしましたが、自分のリズムを一番大事にして乗りました」

【次ページ】 サトノから2頭凱旋門賞に、という可能性も?

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