サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「最高の代役」か「W杯の中心」か。
ハリルは今野泰幸をいつまで使う?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/06/14 17:30
現在の代表で今野泰幸がキープレーヤーになっていることは間違いない。とはいえ、疑問は残る……。
イラク対策としては合理的なものだったが……。
そもそも、このチームの軸足となるオーガナイズは、4-2-3-1なのか、4-3-3なのか?
7日に行なわれたシリアとのテストマッチで、ハリルホジッチ監督は4-3-3を選んだ。しかし、イラク戦は4-2-3-1へ戻している。
キャプテンの長谷部は、依然としてチームに合流できていない。シリア戦で中盤を担った香川真司は、ケガでテヘランへ来ることが叶わなかった。4-3-3のアンカーでプレーした山口蛍も、足に痛みを抱えていた。戦略の練り直しが必要だったのは確かだろう。
代わってスタメンに指名された遠藤航と井手口陽介は、4-2-3-1のダブルボランチを担った。イラクが主武器とするロングボールを最終ラインが跳ね返し、彼らにセカンドボールを回収させることで、ハリルホジッチ監督はゲームの主導権を握ろうとしたと考えられる。
リオ五輪代表のチームメイトだったふたりは、実際にセカンドボールとルーズボールの支配に汗を流す。遠藤は昨年1月のリオ五輪アジア最終予選でイラクと対戦しており、相手の特徴を肌で感じていたことも起用を後押ししたに違いない。
イラク対策としての4-2-3-1とそのキャスティングは、それなりに納得できるものである。トップ下に原口元気が指名されたのも、素早いプレスバックでロングボールの出どころを封じる狙いがあったはずだ。
チームの基盤、主軸の布陣はどこにあるのか。
それにしても、チームの基盤が揺らいでいないだろうか。
最終予選の期間中は、ロシア行きを決めることが最優先事項だ。だからといって、世界で勝つための準備を頭から締め出していいわけではない。
4-2-3-1と4-3-3を使い分けていくとしても、どちらを軸とするのかははっきりさせておくべきだ。同時に、ハリルホジッチ監督が就任当初に掲げた世界戦略──タテに速いサッカーの追求が停滞していることも気になる。
大迫が最前線で起点になれるとしても、原口や久保裕也が力をつけているとしても、世界のトップオブトップとの比較では、際立った「個」とは成り得ない。それは、厳然たる事実だ。