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「最高の代役」か「W杯の中心」か。
ハリルは今野泰幸をいつまで使う?
posted2017/06/14 17:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
6月13日のイラク戦が、過酷な条件下で行われたのは間違いない。キックオフは現地時間の16時55分で、30度を超える暑さにさらされた。イランの首都テヘランは標高が高く、空気が乾燥している。給水タイムが設けられたのは、それだけ肉体に負担があったからだろう。梅雨の日本とは対照的な環境である。
そうしたなかで、日本は勝点1をつかんだ。理想を言えば勝点3を上積みしたかったし、1-1ではなく1-0で終える可能性もあった。72分の失点はGK川島永嗣とCB吉田麻也の連係ミスで、イラクへのプレゼントのようなものだった。
中国人の傅明主審が“一般的”な判断を下せば、ペナルティキックをもらえる場面があった。27分に大迫勇也が押し倒された場面は、明らかなファウルだった。
いずれにせよ、数多くの好機を作り出したわけでなく、消耗戦を強いられた内容である。引き分けは妥当と言っていい。
イラクとのドローで勝点を「17」とした日本は、残り2試合に連敗しても4次予選には進出できる。8月31日のオーストラリア戦か9月6日のサウジアラビア戦のいずれかに勝利すれば、グループ2位以内を確保できる。ロシアW杯へ前進しているのは確かだが、すなわちそれが、W杯本大会で好成績をつかむ可能性を高めることになっているのだろうか。
今野を使う4-3-3はアジア用なのか、W杯でも使うのか。
3月のUAE戦とタイ戦、さらには今月7日のシリア戦で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は4-3-3のシステムを採用した。長谷部誠の戦線離脱とUAE対策を両立させるために、それまでの4-2-3-1と異なるオーガナイズを取り入れた。新たなシステムを機能させる人材として、34歳の今野泰幸を代表に復帰させた。
目前の勝利をつかむための具体策として、今野の招集は効果的だった。UAE戦のパフォーマンスは、繰り返しになるが出色だった。攻撃にも守備にも縦横無尽に絡む動きを見せられたら、ハリルホジッチ監督でなくても継続的な招集を考えるだろう。
ただ、1年後の本大会を見つめると疑問が生じる。
今野がインサイドハーフの一角を担う4-3-3は、対アジアの時限的な処方箋なのか? ロシアW杯でも日本の基本布陣となるのだろうか?