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エディーから日本ラグビーへ提言。
「他者から学び、自ら解決せよ」
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byTomoki Momozono
posted2017/05/09 08:00
現在はラグビーの母国イングランド代表の再建に尽力するエディー。今もなおジャパンへの愛情は強い。
精神的な要素を鍛えるにはある程度時間が必要です。
――選手たちの精神的な要素を鍛えるには。
「ある程度の時間が必要です。チームとしての環境や雰囲気であったり、コーチ陣の働きかけであったり、色々なやり方がありますが、試合を重ねるなどして時間を掛けていく必要があります」
――この試合での日本代表の収穫は。
「アルゼンチン戦を単体で見てはいけません。この試合は秋のテストシリーズ第1戦に過ぎず、全ては2019年のW杯への準備。そのためにジョセフHCは多くの選手をテストデビューさせましたし、試合後にこうした選手たちへの誇らしい気持ちをコメントしていました。本物のテストマッチレベルの選手というものは、そう簡単には育てられません。多くの未経験の選手に、テストラグビーを経験させられたことだけでも、十分に収穫です」
ジャパンのスクラム強化は長谷川慎の腕の見せ所です。
――アルゼンチンに比べれば得点力を欠くとは言え、被トライ3に抑えたジョージア戦。課題であったディフェンスは改善されたか。
「明らかに改善されましたね。特に、ワークレートは素晴らしかった。この試合で見せた高いワークレートこそが、ディフェンスに必要な精神的な要素というものです。ただ、これを継続してどんな相手にでも見せられるようにしなければ、完成品とは言えません。この試合に限って言えば、飛び出しのスピード、ディフェンスライン全体としてのスピードは、共にアルゼンチン戦と比べて非常にいい出来でした」
――スクラムでは、ジョージア自慢の強力FWに押し込まれる場面も目立った。
「今のジャパンのスクラムには、大きな改善の余地があります。スクラムの強化も、時間が掛かるものです。私がジャパンのHCとしてスクラムを強化するのにも、3年掛かりました。FWコーチに長谷川慎が就任し、スクラムの強化を担当するそうですね。彼は、私がサントリーでFWコーチを務めた時代の選手の一人で、よく知る仲でもあります。ジャパンのスクラム強化については、彼の腕の見せ所です。選手たちに、“スクラム文化”を根付かせるように頑張ってもらいたいですね。選手たちがスクラムに誇りを持ち、世界の強豪を相手にスクラムを組みたい、という文化をチームに植え付ける。前任のFWコーチであるマルク・ダルマゾは、そうやってスクラムを強化しました」