Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
エディーから日本ラグビーへ提言。
「他者から学び、自ら解決せよ」
posted2017/05/09 08:00
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Tomoki Momozono
日本ラグビーの歴史を変えた指揮官は
今、イングランド代表HCとして
ジャパンの戦いを見守っている。
その眼に新たな船出はどう映ったのか。
Number916号(2016年12月15日号)に掲載した
インタビューを全文掲載します!
――強豪アルゼンチンを相手に、日本代表はスタメンに7人の初招集選手を含む、経験の浅いメンバーで挑んだ。
「今のジャパンは、チームを再建している時期です。誰だって最初は未経験。2019年に向けてチームを作り上げていくために、新しい選手に経験を積ませるのは、早ければ早いほどいい。ヘッドコーチ(HC)に就任して間もないジェイミー・ジョセフがこの試合で経験の浅い選手を多く起用したのは、正しい選択だと思います。理想的には、W杯までに30キャップ以上の経験を積んだ選手を多く揃えておきたいですね。トップリーグのラグビーとテストラグビーでは、ゲームのスピード、強度、全てにおいて大きな差がありますし、選手一人ひとりに求められる役割も違います」
テストデビューを果たした選手は緊張していたようだ。
――経験の浅いチームで、世界トップ10の強豪を相手に20-54は「健闘」と言える?
「最終的な点差ではなく、内容を見る必要があります。アルゼンチンのスコアは54点でしたが、安易なミスにより、少なくとも3本のトライを逃していました。日本へ来るまでの長距離移動で疲労が溜まっているようにも見えました。このようなアルゼンチンを相手に、あのパフォーマンス。あの日のジャパンは経験の浅いチームでしたし、出来は“まあまあ”というところですかね」
――アルゼンチンの攻撃に、ディフェンスラインを見事に切り裂かれる場面も多く見られた。
「ディフェンスのエラーというものは、システムの問題、個人のミスの問題、それから一人ひとりの“精神的な要素”が組み合わさって起こります。ディフェンスにおいては、この精神的な要素が非常に大事で、成否の8割を占めると言っていいでしょう。ここで言う精神的な要素とは、タックルを決めたい、という思いを強く持つことを言います。この試合でテストデビューを果たした選手たちは、ホームである秩父宮の大観衆の前で、やや緊張していたように見えました」