沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
死角がどうにも見当たらない……。
桜花賞はソウルスターリングの一強。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2017/04/08 09:00
チューリップ賞も最後は手綱を緩めての勝利だったソウルスターリング。桜花賞ではこの馬のMAXが見られるか。
桜花賞はとりわけ波乱の多いレースではあるが……。
輸送も苦にしないし、コース実績もある。3戦3勝でフラワーカップを圧勝したファンディーナ(次走は皐月賞)でも出ていれば話は違ったかもしれないが、このメンバーで負けるシーンは想像しにくい。
「藤沢調教師、JRA重賞通算100勝目が無敗での桜花賞制覇」という見出しまで浮かんでくるかのようだ。
しかし、藤沢師のGI24勝のうちクラシックは'04年のダンスインザムードによる桜花賞しかない。
またルメールは、昨年の桜花賞で単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたメジャーエンブレムで4着に敗れている。
馬にとっては生涯に一度だけのチャンスという、クラシックならではの重みが波乱を呼ぶこともままある。特に、ただでさえ難しい牝馬の、思春期とも言える時期に行われる桜花賞では、何が起きても不思議ではない。'07年にはあのウオッカでさえ2着に敗れたし、一昨年のルージュバックだって、きさらぎ賞で牡馬勢をあっさり切って捨てた逸材だが、9着に沈んだ。
無敗の桜花賞馬誕生の可能性はかなり高いと見た。
と、あれこれ書いたが、メジャーエンブレムのときのように逃げが必須だとか、ウオッカのときのようにダイワスカーレットという自身に匹敵する名牝がいたりとか、ルージュバックのときのように極端なスローになって持ち味が封印されたり――といった不安要素を消し去るだけのものを、ソウルスターリングも、陣営も持っている。
同じ馬につづけて乗るために日本の騎手になったルメールは、昨年、デビューから騎乗していたメジャーエンブレムで敗れた悔しさがあり、牝馬クラシックは手にしていない。
「ライバルはたくさんいる。だからゴールまで注意して乗りたい」という短い言葉から、強い気持ちが感じられる。
ソウルスターリングが、大きなストライドで、阪神外回りの長い直線を伸び伸びと走る姿が目に浮かぶ。
先述した、藤沢師自身が管理したダンスインザムード以来13年ぶりの無敗の桜花賞馬誕生の可能性は、かなり高いと見た。