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待ち望んでいた風間監督との出会い。
佐藤寿人は第2の憲剛、嘉人になる。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKyodo News

posted2017/02/14 11:30

待ち望んでいた風間監督との出会い。佐藤寿人は第2の憲剛、嘉人になる。<Number Web> photograph by Kyodo News

赤いユニフォームを着た佐藤寿人には、まだ率直に言って違和感がある。しかし、試合になればチームのために全力でゴールを狙う男なのだ。

広島時代は28点とってJ1に昇格した。今回は?

「トレーニングは、これくらいでいいやっていうのがひとつもないんです。しかもめちゃ頭を使います。たとえば、今まではパスを出した後に横でサポートしたり、ちょっと外す動きとかしていたんですけど、受けた選手からするとパスを出せる状況じゃなかったりする。でも、パスを出した選手に寄っていくと選択肢が出てくるし、ボールに関与していることになる。

 また、ひとりひとりが相手を上回る高い技術でパスをしっかりつなげていくと、相手の対応を無力化することができる。僕を含めて、選手全員がそういう意識を持てるようになっているので、馴染んでいくともっとすごくなるなっていうのは感じています」

 風間が率いた川崎は連続性と多様性を重視し、1回ではなく、2回、3回と攻撃を繰り返し、チャンスをこれでもかというぐらい作っていた。チャンスの数が増えれば、ゴールの確率も増えるということになる。広島がJ2に落ちた時、佐藤は28得点を挙げてJ1昇格に貢献した。攻撃がうまく機能すれば、その数字も見えてくるはずだ。

「28点はよく取ったなぁって思いますけど、もう1度、そこにチャレンジしたいですね。ただ、当時と同じことをやっていても同じ点数は取れないと思う。グランパスのやり方の中でどうやってゴールを挙げていくか。今まではボックスの内でワンタッチで仕事をしていたけど、FWとの組み合わせによってはボックスから離れて、前を向いてミドルレンジのシュートというのも増えていくと思う。今シーズンは、今までにない部分をFWとして身に着けていかないといけない」

同年代の大久保、憲剛の躍進を励みにして。

 川崎でもそうだったが、風間監督が指導したからと言って、必ずしもみなが成長できるわけではない。ピッチで迷子になる選手や、戦術を理解できずにチームを去った選手もいた。しかし、うまく自分のモノにしていければ大久保嘉人のように大きく成長することができる。

「嘉人があんなにすごくなったんでね。それは励みになるし、憲剛さんも昨年36歳でMVP獲ったんで、それも大きな刺激になりました。今、僕は35歳でこれからキャリアの終盤に向かっていくような感じに自分自身も周囲も見ていたけど、今はグランパスでもっと成長できると思ってやれているので、ほんとすごく楽しいです。自分がそう思えているということは、若い選手はこれからどんだけうまくなるんだろうって思うから、正直10代のころに風間監督と出会いたかったですね(笑)」

【次ページ】 「これが最後の移籍になる。その覚悟」

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