畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
昨年9位から全勝優勝の立役者は?
畠山健介が語る、最高のフッカー。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/02/03 08:00
サンゴリアスと畠山健介は、トップリーグ、日本選手権を含めてシーズン公式戦無敗を達成した。
堀江翔太とはタイプの違う、地道なフッカー。
青さんは僕の2つ上の33歳。同じ早稲田大学出身で、大学時代から公私共にお世話になっている。大学そしてサンゴリアスでずっと一緒にスクラムを組んできて、青さんがいかに頼もしいか、僕は知っている。
サンゴリアスは、セットプレーでプレッシャーがかかった時も自分たちのラグビーができるよう練習しているが、基本的には「セットプレーは安定している」という大前提のもと、戦術を組み立てる。セットプレーの要であるフッカーの青さんは、誰よりも欠かせない存在。サンゴリアスの最重要人物なのだ。
青さんは日本代表として2011年のワールドカップに出場するなど、経歴は申し分ない。しかし、派手なプレーをするタイプの選手ではない。同じポジションでラグビー界のスーパースター堀江(翔太)のような強く派手なボールキャリーをするわけではなく、地道な仕事を多くこなすタイプだ。そのすごみは伝わりにくいせいか、メディアは青さんをあまり取り上げない。
青さんは、一度もマンオブザマッチにならなかった。
今シーズン、サンゴリアスは17戦全勝だったが、勝利の要因がセットプレーである試合も多々あった。しかしその「勝因」である青さんはマンオブザマッチに一度も選ばれなかった。試合後の取材もマンオブザマッチの選手やトライを決めた選手などに集中した。僕は所属チームであるサンゴリアスと対戦相手以外から、青さんが「正しい評価」をされているとは到底思えない。
昨シーズン、青さんは開幕戦のパナソニック戦で負傷し、長期離脱を余儀なくされた。今季は青さんがシーズン最後までいたからスクラムが安定し、バックスに良いボールを供給でき、ピンチにはスクラムを押してペナルティーを取るなどして試合を優位に進められた。
ハッキリ言って、セットプレーに関して、青さんは格が違う。筋力だけのフッカーはいくらでもいるが(当然青さんも筋力を備えている)、筋力以上の経験と技術のレベルの桁が違うのだ。