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Jトライアウトの再就職率は87.5%!
人情よりも、進路こそが本質では?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2016/12/08 15:00
多くの選手が移籍先を見つけ、次の年もサッカーで生活をすることができる。トライアウトの本質を考えさせられた1枚の張り紙。
Jトライアウトの“再就職率”は87.5%!
昨年まで目にした記憶がなかったため、関係者に聞いてみると、やはりこの進路表は今年から張り出されるようになったという。その用紙を見てみると、興味深い数字が浮かび上がってくる。
まず真っ先に気になるのは「どれくらいの選手が所属クラブを見つけられたのか」という点である。トライアウトを受ける前時点で、J1所属選手は17人、J2は42人、J3は27人、そしてJFLや所属なしは2人となっている。そのうち所属先が見つかった選手が73人もいた。
また引退した選手の中でも、DF村上和弘は'15年まで所属したベガルタ仙台アカデミースタッフ、J2ギラヴァンツ北九州の宮本亨は古巣であるアビスパ福岡のアカデミースタッフとなるなど、セカンドキャリアとして第2の人生を歩みだした選手も4人いる。
引退した選手も含めて、何らかの形でサッカークラブに携わっている合計人数は77人。“再就職率”として見た場合、87.5%と高い数字になっている。
これはトライアウトが単なる儀礼の場ではなく、就職先を見つける機会として機能していると言っていいだろう。
カテゴリーを下げた選手が大半だが、逆のケースも。
もちろん所属先を見ると、ほとんどの選手はJ1からJ2、J2からJ3……といったように、カテゴリーを下げてプレーしているという現実はある。それでも、J2クラブで契約満了となりながらJ1に“個人昇格”し、レギュラークラスとして定着した選手もいる。
その代表格が、ヴァンフォーレ甲府所属のMF田中佑昌である。2012年から4シーズンにわたってJ2のジェフ千葉でプレーした田中は昨季限りで契約を満了したものの、トライアウトのプレーを経てJ1の甲府へと加入。福岡に所属した2011年以来となるJ1クラブの所属となった。
その田中は堅守をモットーとするチームの中で献身的な動きを続け、リーグ戦全34試合に出場し、27試合に先発出場した。そしてセカンドステージでは強豪のサンフレッチェ広島相手に66分からピッチに入る。するとセットプレーのこぼれ球に鋭く反応して決勝点を叩きこみ、残留争いの渦中にいたチームは大きすぎる勝ち点3を得た。