F1ピットストップBACK NUMBER

ロズベルグとハミルトンの優勝条件。
逆転の鍵はあの最年少ドライバー? 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2016/11/20 07:00

ロズベルグとハミルトンの優勝条件。逆転の鍵はあの最年少ドライバー?<Number Web> photograph by Getty Images

雨中のブラジルGP、アグレッシブな走りで一時はロズベルグ(左)を抜いたレッドブルのフェルスタッペン(右)。

ロズベルグが4位以下に終わるケースはクラッシュ?

 ロズベルグが今シーズン4位以下に終わったレースは5回しかない。しかも、そのうち、3回はハミルトンと絡んだレースである。スペインGP(ハミルトンとクラッシュしてリタイア)、カナダGP(スタート直後にハミルトンとの接触を避けるためにコースオフして5位)、オーストリアGP(最終周にハミルトンとクラッシュして4位)だ。すなわち、ロズベルグは無理をしなければ、ほぼ間違いなく3位以上を獲得できるとみていい。

 それは最近の3レースを見ていてもわかる。3戦とも予選でハミルトンにポールポジションを奪われ、スタートでもかわすことができなかったロズベルグは、無理せず2位を追走するレースに徹した。それはひとつには、同じマシンでは特性も同じなので、コース上でのオーバーテイクが難しいためだ。

 また、スタート直後に2番手に下がった場合、タイヤ戦略を変えてチームメートを出し抜くことも難しい。というのもメルセデスAMGは、常に2人をイコールコンディションにしているからだ。

 トト・ウォルフ(メルセデスAMGのエグゼクティブディレクター/ビジネス)によれば、「ベストな戦略はひとつしかない。だから、2人に異なる戦略を与えることはない。異なる戦略を与えるということは、どちらかに適切でない戦略を与えるということになるから」ということだ。

2番手を優先するのは、1位との差が開いた時だけ。

 チームの戦略を担当するチーフレースストラテジストを務めるジェームス・ヴォレスも、次のように語る。

「メルセデスAMGのレースフィロソフィには、最大限の結果を獲得するという決まりがある。つまりどちらかを必ず優勝させ、もうひとりは2位でフィニッシュさせるということだ。優勝が優先されるので、ピットストップの優先権は常に、前を走っているドライバーに与えられる。

 もちろん、われわれが1-2体制を築いているが、トップと2番手の差が開き、かつ2番手と他チームの3番手が接近しているような場合は、相手チームの3番手のドライバーにアンダーカット(自分の前を行く相手より何周か先んじてピットインし、フレッシュなタイヤに履き替えて差を詰めておいて、相手がピットインする間に前に出る作戦)されないように、2番手のドライバーを先に入れることもある。

 ただそれは2番手のドライバーを優勝させるためではなく、あくまで2番手を確保するためなので、優先権はトップを走っている者が有することになっている」 

【次ページ】 レッドブルの2人が2着、3着に入る可能性は?

BACK 1 2 3 NEXT
#ニコ・ロズベルグ
#ルイス・ハミルトン
#マックス・フェルスタッペン

F1の前後の記事

ページトップ