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ロズベルグとハミルトンの優勝条件。
逆転の鍵はあの最年少ドライバー? 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2016/11/20 07:00

ロズベルグとハミルトンの優勝条件。逆転の鍵はあの最年少ドライバー?<Number Web> photograph by Getty Images

雨中のブラジルGP、アグレッシブな走りで一時はロズベルグ(左)を抜いたレッドブルのフェルスタッペン(右)。

レッドブルの2人が2着、3着に入る可能性は?

 こうなると、ハミルトンが最終戦で逆転するには、何が何でも予選でポールポジションを獲得し、スタートでミスを犯さずにそのまま優勝するしかない。ただし、ハミルトンが優勝しても、ロズベルグが3位以上でフィニッシュすれば、ロズベルグがタイトルを獲得する。

 そこで注目されるのが、第3、第4のドライバーの存在である。すなわちレッドブルの2人、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンだ。そのことはメルセデスAMGのウォルフも強く認識している。

 たとえば、ブラジルGPの2週間前に行われたメキシコGPのスタート直後の1コーナーで、フェルスタッペンがロズベルグと接触した。するとその後、ウォルフはフェルスタッペンの父親で、元F1ドライバーであるヨス・フェルスタッペンにこんな電話をかけた。

「われわれのドライバーに対して、無謀なレースをしないでほしい。タイトル争いを台無しにしてしまった男として悪い記憶が残るようなことは、マックスの将来にとっても良くないからね」

 この話の内容は一緒に暮らすヨスからフェルスタッペンへと伝わったが、フェルスタッペンの気持ちに変化がなかったことは、電話の後のブラジルGPでも彼が果敢にロズベルグへオーバーテイクを仕掛け、一時2番手を走行していたことでもわかる。

フェルスタッペンが歴史に名を残すか。

 結局、レッドブルがややアグレッシブなタイヤ戦略を採ったことが裏目となり、フェルスタッペンは3位に終わったが、もしメルセデスAMGと同じ戦略を選んでいれば、フェルスタッペンだけでなく、リカルドもロズベルグの前に出て、ハミルトンとロズベルグの間に2人が入っていた可能性があった。

 結局それは実現しなかったとはいえ、レース後もっとも賞賛を受けたのは、雨の中攻めに攻めまくったフェルスタッペンの走りだった。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう言った。

「今日のマックスは、1984年モナコGPのアイルトン・セナや、1996年スペインGPのミハエル・シューマッハーに匹敵する走りだった」

 もしかすると、最終戦アブダビGPでは、良い意味でフェルスタッペンが、2016年のタイトルを決したドライバーとして記憶に残ることになるかもしれない。

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