プレミアリーグの時間BACK NUMBER
モウリーニョはまだスペシャルか。
マンU監督はモイーズが比較の基準。
posted2016/11/05 17:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
「モイーズ以下」
本人には気の毒だが、2代前のマンチェスター・ユナイテッド指揮官は、サー・アレックス・ファーガソン勇退後の監督評価に関するベンチマークになっている。
先代のルイス・ファンハールに続き、今季からマンUを率いるモウリーニョも、10月29日の10節バーンリー戦でスコアレスドローに終わると、メディアで有り難くない比較をされるはめになってしまった。
モウリーニョのマンUは、プレミア開幕10戦を4勝3敗3引分けの勝ち点15。3シーズン前のデビッド・モイーズ体制1年目は、黒星の数は同じでも10節終了時点で17ポイントを獲得していた。3年前の5倍以上に当たる約1億4500万ポンド(190億円弱)を今夏の補強に費やしている事実も、「モイーズ以下」の度合いを強めた。
プレミアでは、4試合勝ち星から遠ざかっている。前節チェルシー戦での大敗後(0-4)、リーグカップではマンチェスター・シティとのダービーで辛勝を収めたが、より重要なリーグ戦では格下相手のホームゲームでも勝利を奪うことができなかった。
おまけに、モウリーニョはバーンリー戦後半にスタンド送り。PKをもらえなかった不満をハーフタイムに主審にぶつけた行動に対する退席処分だった。結果、試合翌日の『サンデー・タイムズ』では「大してスペシャルではない」、『エクスプレス』紙では「パニック状態」と評されることになった。
中盤の最適解が、まだ見つかっていない。
さしもの「スペシャル・ワン」も、新任地で悩んでいることは明らかだ。
自軍の最強布陣さえ、いまだ割り出せずにいるように見受けられる。チームの心臓部に当たる中盤中央にしても、チェルシー戦ではアンデル・エレーラとマルアヌ・フェライニがコンビを組み、ポール・ポグバがトップ下で起用されたが、バーンリー戦では、フアン・マタをトップ下に入れて、ポグバがエレーラと2ボランチを構成していた。後半には、システム自体も基本の4-2-3-1から4-4-2へと変わっている。