プレミアリーグの時間BACK NUMBER
モウリーニョはまだスペシャルか。
マンU監督はモイーズが比較の基準。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2016/11/05 17:00
じりじりと順位を下げ、EL圏内からも引き離されつつあるマンU。今季の上位は順当な顔ぶれなだけに、失速は期待しづらいが……。
実は、チームのパフォーマンスは悪くない。
しかしながら、モウリーニョが焦って我を見失っているとするのは、さすがにいき過ぎだろう。当人が、退席処分後の会見を助監督のルイ・ファリアに任せずに自ら行っていれば、「パニックに陥る理由などない」と言って、苦境を騒ぎ立てる報道陣をたしなめていたに違いない。
実際、マンUの出来は悪くない。メディアでは「もはや対戦相手は敵地でのマンU戦を恐れていない」とも言われているが、バーンリー戦でのチームパフォーマンスは、体制下での昨季を含めて、オールド・トラッフォードで披露された中で最高レベルと言ってもよい。ポゼッションは72%対28%。格下を相手に順当に主導権を握り続けていたのだ。
しかも、単にボールを支配していただけではない。昨季までのマンUは「ポゼッションだけ」だと非難され続けた。
例えば、昨年10月末のクリスタルパレス戦(0-0)。ファンハールのマンUは、ポゼッションで優位に立っていながらシュート数は相手の半分でしかない5本にとどまった。その点、バーンリー戦では打ちも打ったりの38本。枠内だけでも11本を数えた。
前回のホームゲームに当たる7節ストーク戦(1-1)も同様だ。試合後のモウリーニョが、獲得1ポイントにもかかわらず「ビューティフルな今季のベストゲーム」と自軍を讃えた一戦だが、マンUは堂々のシュート24本を放っている。
非難が集中しているイブラヒモビッチ。
そのストーク戦で勝てなかった責任をメディアに負わされたのが、1トップを任されているズラタン・イブラヒモビッチ。ポグバが演出した1対1の絶好機に、ニアサイドへのシュートをリー・グラントにセーブされてしまった。新CFは、バーンリー戦でもチーム最高のシュート12本を放ったがネットを揺らせず、9月上旬以来の「リーグ戦ノーゴール」が国内各紙で強調される結果となった。