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本田圭佑に再びトップ下を任せよう。
日本の「縦に急ぎすぎ」への回答。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/10/13 11:50

本田圭佑に再びトップ下を任せよう。日本の「縦に急ぎすぎ」への回答。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

他の選手のサポートに恵まれず孤立する場面もあったが、本田圭佑が最前線中央にいることで、日本の攻撃は確実に機能していた。

中央でのプレーで本田が取り戻した自信。

 だが、オーストラリア戦で久しぶりにピッチの中央でプレーし、スルーパスを通したり、香川真司らとワンタッチのパス交換を楽しんだことが、本田の不安を和らげた。

「年が経つごとにサッカーはうまくなるって言うけど、逆に俺の場合は下手になっているんちゃうかなっていうのを安心させる、今日の真ん中でのプレーでした」

 振り返れば、ザックジャパン時代、トップ下でのプレーに強いこだわりを持っていた本田が日本代表の右サイドでプレーするようになったのは、ACミランでの右ウイング起用がきっかけだった。ブラジルW杯後に就任したハビエル・アギーレが、ミランでの起用法に倣って当たり前のように右ウイングで起用するようになり、「本田と香川、どちらがトップ下に相応しいのか」という論争に、終止符が打たれた。

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 実際、本田も期待に応え、日本代表では右サイドからゴールを叩き込んできた。

 だが、縦に急ぎすぎる場面が多く、攻撃に緩急やリズムを作れない今のハリルジャパンを見るにつけ、本田にゲームメイクの役割を託し、トップ下でプレーさせたほうがいいのではないか、と思えてくる。本田自身が右サイドでプレーしていて「下手になってきている」と感じているのであれば、なおさらだ。

多くの選手が口を揃える「急ぎすぎ」問題。

 縦に速い攻撃に傾倒しすぎている――。これこそ、ハリルジャパンの抱える大きな課題だ。何人もの選手たちが、似たような言葉を発している。

「縦に急ぎすぎているところがあった。それも大事で(原口が決めたイラク戦の)1点目は理想の形でしたけど、毎回できるわけではない。ボールを落ち着かせて保持しながら攻めていくのが、これから大事になってくる 」(清武弘嗣/イラク戦を終えて)

「ポゼッションという点では、もう少し落ち着く時間があってもいいのかなって思います。そこはチームの中でもけっこう話しているところであって、時間を作るということは、もう少し考えてやりたいと思います」(長谷部誠/オーストラリア戦に向けて)

「繋いでもいいのに、って思うところでも簡単に蹴ってしまった。攻撃の部分でもっと自由に、いろいろやってもいいのかなって思います。まあ、今日は守備に重きを置いていたから、仕方ない部分もありますけど」(山口蛍/オーストラリア戦を終えて)

「チームとしてどう攻撃していくのかという点で大きな課題が残っていると思うので、意思統一の改善が必要だと感じています」(香川真司/オーストラリア戦を終えて)

【次ページ】 速攻と遅攻を使い分けるコンダクターとして本田を。

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