福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西が見た豪州戦、足りなかったもの。
劣勢の時こそ“マジメさのバランス”を。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/10/12 17:00
代表で4年ぶりとなる1トップを務めた本田。先制点をアシストした一方で後半は味方のフォローを受けられない場面が目立った。
浅野の投入で思考のバランスが攻撃に転じた。
終盤にかけて、日本は相手の攻撃を食い止めるだけの状況を少し改善できました。それは浅野(拓磨)の投入が大きかったと思います。ハリルホジッチ監督はこう着した試合展開だったため、選手交代をギリギリまで待ったのだと推測します。ただ本田とはタイプの違う選手を入れて、オーストラリアに脅威を与えつつ守備の時間を減らすという考え方もあった。
ピッチ全体を見ていても、浅野のスピードを生かすことで勝ち点3を狙おうとする姿勢が高まりました。
それによって終盤に原口の突破からのラストパスに浅野が飛び込む場面が出るなどチャンス自体は生まれましたよね。反撃を仕掛ける時間帯がもう少し早ければ、もっと相手に怖さを与えられたかもしれません。
カウンターを仕掛けるにはある程度の“ずる賢さ”も必要。今後の予選でもアウェーで戦う際には相手の攻勢を受けるケースは十分にあり得ます。その時にオーストラリア戦で浮かび上がった攻守バランスを常に頭に置いて戦う必要があります。
引き分けという結果自体はオーストラリアとの勝ち点差が開いたわけではないです。その一方でサウジアラビアがUAEに勝利(3-0)して、グループ首位に立つと同時に日本との勝ち点差が3に開きました。それだけに11月の直接対決では差をしっかりと詰めておきたい。最終予選前半戦ラストの一戦も、大事な戦いであることは確かです。
(構成・茂野聡士)