サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
1つでも負ければハリルの進退問題。
心中覚悟で呼んだ“いつもの”欧州組。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/09/30 12:20
W杯アジア予選で苦戦して任期途中で退いた監督は20年近く出ていない。ハリルはこの危機を脱することができるか。
計算が立つ国内組を1人加えてもよかったような……。
デスク「と言うと?」
二宮「FWのメンバーは9月の2連戦とまったく同じ岡崎、本田、小林悠、原口、宇佐美、武藤、浅野の7人。国内組は小林1人です。欧州組は帰国するまでコンディションがつかみづらいうえに、帰国してすぐにイラク戦を迎えるという状況なので、計算が立ちやすい国内組のアタッカーがもう1枚欲しかったな、と。その意味でキレキレの齋藤は加えたほうが良かったんじゃないかとは思いました。それに齋藤のA代表初ゴールが東アジアカップのオーストラリア戦でした。ススッと抜けていくあのドリブルは、アジリティー勝負に強くないオーストラリア相手にも効きそうですし」
デスク「齋藤は見てみたかったな。その国内組のアタッカーで唯一選ばれた小林悠もかなり調子がいいよね」
二宮「今の小林なら先発で起用しても面白いんじゃないかと思いますよ。ハリルホジッチ監督はシステムを4-2-3-1ではなく、4-3-3と捉えています。両サイドはサイドハーフではなくウイングという考え。裏を取る、ドリブルで仕掛ける、仕留めるといった要素を重視しています。そしてタイ戦で原口がヘディングシュートを決めたように、クロスに合わせることも求めています。それらの要素を備える小林は9月25日の横浜F・マリノス戦で劇的な決勝弾をヘディングで決めるなど、空中戦も得意ですからね」
ファイトを厭わずミドルもある永木は、ようやく。
デスク「新しいメンバーで言うと、ボランチの永木が入ってきたね」
二宮「バチバチのファイトを厭わない、ハリルホジッチ監督好みの選手だと言えます。加えて彼には強烈なミドルシュートがある。22日の天皇杯3回戦ファジアーノ岡山戦では視察に訪れた監督の前で、25mの距離からミドルシュートを決めています。それが決め手になったのか、と。セットプレーのキッカーもこなせますし、ようやくここでメンバーに入ってきたかという印象ですね」