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躍進インディアンスと「呪い」の打破。
フランコーナ監督から目が離せない。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2016/07/09 08:00

躍進インディアンスと「呪い」の打破。フランコーナ監督から目が離せない。<Number Web> photograph by Getty Images

14連勝目をサヨナラで飾ったインディアンス。ここもまた、メジャーに数ある「呪い」のかけられた球団である。

GMのスタンドプレーでチームが壊れるのは珍しくない。

 キーンはコラヴィートより3歳年長だった。巧打者にはちがいないが、ピークは過ぎていた。安打数は減った。'61年にはジャイアンツに移り、次第にフェイドアウトしていった。

 一方のコラヴィートは、デトロイトでの4年間で139本の本塁打を放った。打率も上昇し、着実に2割7分台をキープするようになった。インディアンスは、いまさらながらに逃した魚の大きさを悔んだ。'65年、アスレティックスに移っていたコラヴィートを取り戻そうと、インディアンスは、ホワイトソックスを巻き込んだ大型三角トレードを敢行した。その結果、彼らは有望な若手を失った。ひとりはあのトミー・ジョン投手で、もうひとりはのちに「ミラクル・メッツ」の一員となるトミー・エイジー外野手だ。「帰ってきた英雄」コラヴィートも、その年こそ打点王を獲得するものの、'66年以降は急速に衰退した。そして、インディアンスも……。

 長くなったが、これが「コラヴィートの呪い」の概要である。ベーブ・ルースをヤンキースに売ったあとで延々と苦しんだレッドソックスほどではないが、GMのスタンドプレーは往々にしてチームを破壊する。もちろん逆のケース、つまりスターの不在がチームを強化する例も珍しくはない。

監督フランコーナの名前は球史に刻まれるか。

 今季のインディアンスは、こちらの例に該当するかもしれない。彼らは、中軸打者マイケル・ブラントリーを、5月以来、右肩の故障で欠いている。職人マーロン・バードもPED(運動能力向上薬物)使用が発覚して出場停止処分を受けた。'14年のサイ・ヤング賞投手コーリー・クルーバーは、昨年来の乱調癖を克服できていない。

 にもかかわらず、チームはしぶとく勝ちつづけている。先発陣では、26歳のダニー・サラザール(10勝3敗、防御率2.22)と25歳のトレヴァー・バウアー(7勝2敗、防御率3.02)がリーグ1位の防御率を支える。打線でも、22歳のフランシスコ・リンドア(3割、10本塁打)、23歳のホゼ・ラミレス(2割9分6厘)、25歳のタイラー・ネイキン(3割1分4厘)ら、若手の進境が著しい。

 となると、必要なのは長打力とブルペンの充実だ。GMのマイク・チャーノフは、8月1日が期限のサマー・トレードで、この部門に照準を合わせてくるだろう。監督のテリー・フランコーナも、ひそかに手ぐすね引いているのではないか。なにしろ彼は2004年、あのレッドソックスを「86年の眠り」から目覚めさせた立役者なのだ。もし今季、インディアンスに68年ぶりの栄光をもたらすようなことがあれば、監督フランコーナの名は、名将として球史に深く刻まれる。当人が意識しようがしまいが、われわれ観客は眼を離せなくなってきた。

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