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EUROもいいけど、こちらも必見!
メッシがコパでマラドーナを越える?
posted2016/06/23 07:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
「いまの中南米のサッカーは欧州に劣っている。ヨーロッパには良いサッカーをしているチームや、そうしようとしているチームがある。最高はスペイン。ドイツもいい。ルーマニアもわたしが見た限り、超一流の選手はいないながらも良かった。とにかく、大半の国が良いサッカーをしようとしている。ユーロのレベルは全般的にコパ・アメリカより上だ」
'78年のW杯で母国アルゼンチンをメノッティ監督のアシスタントとして世界の王座に導き、リーガにも深い足跡を残してきたアンヘル・カッパは、現在行われているコパ・アメリカとEUROを比較してこう語っている。
「かつてアルゼンチンの選手はボカやリーベルでプレイすることを夢見ていたが、いまは国を出ていくことばかり考えている」
それゆえ国内リーグのレベルは落ち、代表のレベルも落ちるというのだ。
洗練された戦術はなくても、感情の衝突は面白い。
それでも、コパ・アメリカは面白い。
なにしろ隣接し、同じ言語を用いる国々の戦いだ。敵サポーターから飛んでくる雑言も、球際のつばぜり合いで思わず口をつく罵りの言葉も、お互い全てわかってしまうため、ピッチの上には一般的なライバル意識を越えた緊張感が漂う。そして感情むき出しの衝突があちらこちらで繰り返される。
ヨーロッパのような洗練された戦術は見られないけれど、代わりにゴールを狙う姿勢は本能的で、いっそ爽快。おまけに南米には普段リーガでプレイしている選手がたくさんいる。
100周年を記念して開催された今年の大会には、CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)に属する国々も参加したが、最も期待され、注目されたのはアルゼンチンだろう。
'14年のW杯、昨年のコパ・アメリカと続けて決勝戦に進出しながら2度とも優勝を逃しているため、「次こそは」という思いが本人たちや国のファンのみならず、第三者にもあったからだ。
またアルゼンチンにとって、今年のホスト国であるアメリカは、'94年に英雄マラドーナのドーピング違反が発覚した因縁浅からぬ地でもある。ここで優勝カップを掲げたら、23年間悩まされてきた無冠の呪いは一気に解けるはず――なんて思惑もファンの間にはあったかもしれない。