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EUROもいいけど、こちらも必見!
メッシがコパでマラドーナを越える?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2016/06/23 07:00
アルゼンチンのユニフォームを着て、メッシがタイトルを手にする。そのハッピーエンドを世界の多くの人が望んでいる。
メッシに集まる野次馬的関心のポイントは?
加えて、アルゼンチンには野次馬的関心の的となるポイントもあった。
メッシの代表での初戴冠と、それがもたらし得るマラドーナ派ファンとメッシ派ファンの平和的統合だ。
'05年8月にフル代表デビューを果たし、'06年のW杯にアルゼンチンサッカー史上最年少で出場したメッシは、以来あらゆる大会でチームをリードしてきたが、国のファンにはなかなか認められないでいた。
彼の伝記の著者セバスティアン・フェストによると、メッシは「内向的でシャイで口数少なく、全くアルゼンチン人らしくない」うえに、13歳でバルセロナに移住した後「完璧な環境下で暮らしてきたため、何もかもが正しく機能しないアルゼンチンという国の人々には理解されないのがむしろ当然」なのだそうだ。
とはいえ、アルゼンチンではしばらく前からリーガやCLを国内リーグ同様に楽しむ人が増えており、「毎週メッシのプレイを観て、故郷ロサリオ訛りで話すのを聞いている人たち」はメッシに対して親近感を覚え、『仲間』とみなすようになってきた。
これがメッシ派であり、彼らはたいていメッシをマラドーナの上に置いている。
マラドーナ派の拠り所は「W杯優勝」の一点。
ところが一方で、マラドーナの絶対的な信奉者というのもおり、彼らはメッシがマラドーナと肩を並べることは決してないと言い張る。
となれば両陣営は必然的に論争を繰り広げることになるのだが、マラドーナの伝記を記したダニエル・アルクッシいわく「マラドーナ派の拠り所はいまや『W杯を制していない』の一点しかない。あとは『イングランド人を6人抜き去っていない』ぐらい」なので、世界王座ほどの価値はないにせよ、93年以来となるタイトルが両派の和睦と速やかな統合を進める可能性は十分あるわけだ。