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NBAファイナルが一方的な展開に。
「超人」は「民主化」に勝てない?

posted2016/06/06 17:30

 
NBAファイナルが一方的な展開に。「超人」は「民主化」に勝てない?<Number Web> photograph by AFLO

カリーに激しいマークをつけるキャバリアーズだが、そうすればするほどに周りが空く、という悪循環に陥っている。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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 ウォリアーズの「民主化」が止まらない!

 で、民主化って何? と問われれば、それはどの選手にもシュートチャンスがあること、と私は答える。

 NBAファイナル第2戦は“Blowout”、110-77という、ウォリアーズの一方的な展開での勝利となった。

 ファイナルが始まる前は、昨季の雪辱を期し、休養十分のキャバリアーズ(昨年のファイナルは、カイリー・アービングとケビン・ラブの二枚看板を欠いていた)が、ウォリアーズに対して十分に対抗できる力があると踏んでいたのだが、第1戦は15点差、第2戦は33点差と、予想外の大差がついている。

 興味深いのは、ファイナルの2試合を見ると、両チームのバスケットの方向性の違いが浮き彫りになっていることだ。

カリーとトンプソンだけを止めてもダメ。

 ウォリアーズはヘッドコーチであるスティーブ・カーの「パスが通れば通るほど、ウォリアーズの勝率は格段に上がる」という哲学が根っこにあり(目安としては1試合350本)、「早くて、速い」ボール回しによってフリーの選手を作り、高確率でシュートを沈めるスタイル。特に第2戦では、グリーンが5本の3ポイントシュートを決めた(カリーがベンチで興奮し、悶絶していた)。

 このシステムでもっとも恩恵を受けているのが、今や世界的な大スターであるステファン・カリーと、クレイ・トンプソンのシューターふたりだ。

 ただし、ファイナル第2戦まで終わったところで分かったのは、カリーとトンプソンの2人を止めても、キャバリアーズは勝てないということだ。

 表で、ウォリアーズの“民主化”を数字で表してみた。

   第1戦   第2戦   合計 
グリーン 16 28 44
バーンズ 13  5 18
ボーガット 10  2 12
カリー 11 18 29
トンプソン  9 17 26
ラッシュ  0  0  0
イグダーラ 12  7 19
スペイツ  0  3  3
エジーリ  2  6  8
 リビングストン  20  7 27
クラーク  0  7  7
バルボサ 11 10 21
バレジャオ  0  ―  0

【次ページ】 スターを潰しても、脇役が決めてしまう。

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