オリンピックへの道BACK NUMBER
オリンピックとパラリンピックの溝。
水泳日本代表の壮行会で感じたこと。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/05/29 10:40
その日試合があったわけではない水球の選手も呼んでいるのなら、パラリンピックの選手たちも呼んでしかるべきだと思うのだが……。
「同じ代表」という演出は出来なかったのか。
あれから3年。日本でも、これまでにないくらいパラリンピックの各競技の動向や選手たちの姿が伝えられるようになった。その背景には、2020年の東京開催が決まったことがもちろんある。
今回、水泳の壮行会がオリンピックとパラリンピック双方の選手達を集めて開催されたことも、同じ流れの中にある。そして壮行会もまた、パラリンピック競技に触れてもらい、認知を高めるための1つの機会ではある。
ただ、せっかくそのような場を設けたのであれば、あと一歩踏み込めなかったか。
つまり「同じ代表」という演出方法はできなかったのだろうか、ということだ。彼らはともに、トレーニングに励み、身体を鍛え上げ、代表選考を経て大舞台の切符をつかんだ。日本代表としてリオ大会に臨むという点において変わりはない。
今回のように、どこかゲストとして呼ばれたように見える形、雰囲気になるのではなく、オリンピックに出場する選手たちと並んで、パラリンピックに出場する19名の代表選手がプールサイドに立つ。指導者も参加する。そのような形であってこそ、「壮行会」という名前に相応しい場になったように思える。
オリンピックとパラリンピックを1つの大会に?
2020年には、オリンピックとパラリンピックを合わせて1つの大会としてしまえば面白いのではないか。そう思ったこともあった。いつからいつまでがオリンピック、いつからがパラリンピックではなく、この日がオリンピックの種目なら次の日はパラリンピックの競技……のような。
実際には、2020年も2つの大会は期間を分けて行われる。少なくとも、選手同士、そして観る人と接する、触れる、交流する機会の増加が垣根をなくす一歩ではある。
そして、オリンピックとパラリンピックの選手たちが並んで立つのが当たり前の光景になったとき、大きく日本のスポーツ環境も変わる。
そんなことを考えさせられた壮行会だった。