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レースでコンマ1秒を縮める壮絶な作業。
ピットマンの闘いを知っているか? 

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大串信

大串信Makoto Ogushi

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photograph byTOYOTA

posted2016/03/31 16:00

レースでコンマ1秒を縮める壮絶な作業。ピットマンの闘いを知っているか?<Number Web> photograph by TOYOTA

ドライバー同様、危険と隣り合わせのピットマンの作業。一流のチームには一流のピットマンが必ずいる。

レースのため精神的トレーニングをするピットマンも。

 ピットマンはメカニックとして働いている時間が長いので、工具を駆使する職人だと認識されがちだが、舞台裏では日々筋力トレーニングを重ね、繰り返しピットワークを磨き上げている。

 監督がピットインの指示を出したときから、ピットマンの緊張は高まる。そして競技車両が1周してピットへ飛び込むまでに自分の精神状態を整え、マシンが目の前に停止した瞬間に自分の筋力、気力を一気に出し切ってマシンを送り出す。

 瞬間的に行われるその集団作業の中、各ピットマンが抱く精神的重圧は並大抵のものではない。

 レースに至るまでの膨大な開発時間と費用、そしてドライバーが必死に縮めてきたコンマ1秒を、自分の些細なミスがぶち壊しチームの足を引っぱりはしないかと不安に駆られるからだ。重圧に打ち勝つための精神的トレーニングを積むピットマンも少なくないという。

4月開幕の耐久レースで、是非ピットに注目を!

 ニュルブルクリンク24時間レースに挑戦したTOYOTA GAZOO Racingのトヨタ社員メカニックは、ピットマンとして慣れないピット作業に直面し困惑したと言う。

「24時間レースは大変でした。そんなに長い時間緊張し続けることはありませんでしたから。精神的にも肉体的にも疲れました。タイヤ交換では緊張して焦ってミスしてしまいました。冷静にやればできたはずなのに、あの雰囲気の中では冷静ではいられなかったんです。心では『冷静に』と思っているんだけど、身体がついてきませんでした。自分をコントロールしきれず雰囲気と緊張感に負けてしまったんです」

 一定のルールの中で、精神と肉体を連携させ、自身が持つ能力の限界を出し切ることは、まさにスポーツの真髄である。彼ら社員メカニックたちはレースを通して、思いもかけなかったアスリートの世界に触れてしまったのである。

 4月9日、いよいよSUPER GTの2016年シリーズが開幕し、翌週には世界耐久選手権(WEC)も始まる。また今年のニュルブルクリンク24時間レースは、5月26日から29日まで行われる。いずれもピットマンが重要な役割を持って闘いに加わる耐久レースである。コース上のレースに加え、ピットで繰り広げられる闘いにもぜひ注目していただきたいものだ。

■『TOYOTA GAZOO Racing』
   http://gazooracing.com/
■TOYOTA GAZOO Racing WEC
   http://toyotagazooracing.com/jp/wec/
■TOYOTA GAZOO Racing ニュルブルクリンク24時間レース
   http://toyotagazooracing.com/jp/nurburgring/

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